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OSI参照モデルとは?
OSI参照モデルとは、国際標準化機構(ISO)とCCITT(国際電信電話諮問委員会)が異機種間の相互通信のためルール化したものです。これにより、異なるメーカーの装置間でも通信が可能となり、通信の標準化が図られました。
出典:データ通信手順の標準化|公益社団法人日本電気技術者協会
参照:https://jeea.or.jp/course/contents/01401/
歴史的経緯
ISO(国際標準化機構)はネットワークの急速な発達に伴い通信の問題対処のため、1980年OSI(Open Systems Interconnection)基本参照モデルを策定しました。しかし、OSI参照モデルは開発の長期化や仕様複雑が要因で当時別のプロトコルとして普及していたTCP/IPと競う合う関係にもなり、結果としてOSI参照モデル要因のために広く普及するには至っていません。相反してTCP/IPは仕様がわかり易く、設定も簡単な理由で現在も広く利用されています。
TCP/IPモデルとの階層の違い
TCP/IPモデル階層は、4階層構成でOSI参照モデルの5層から7層を1つにまとめ、第4層アプリケーション層としています。現在ではTCP/IPモデルが主流ですが、OSI参照モデルは考え方の基本となっています。OSI参照モデルは7階層構成で、第1層は物理的な規定、第2層は同一ネットワーク通信に関して、第3層は異ネットワーク接続について、第4層はデータ送受の信頼性規定、第5層は通信から切断手順、第6層は端末間の送受規定、第7層はアプリケーションのやり取り規定です。
OSI参照モデルの7つの階層
OSI参照モデルは第1層から第4層までは通信機能となっていて、第5層から第7層はデータ処理を定義しています。ここでは、それぞれの階層の役割や特徴について紹介していきます。
レイヤー1:物理層
OSI参照モデルの物理層は、ケーブルやコネクタ、電気信号などの物理的なものを定めた層です。具体的に説明すると、コンピュータが理解できるデジタルデータとケーブルが扱う電気信号を相互に変換する際の決まり事です。例えば、コネクタのピンの数、コネクタ形状の規定や、銅線-光ファイバ間の電気信号の変換に関わります。
レイヤー2:データリンク層
OSI参照モデルのデータリンク層は、直に繋がっている機器への信号の受け渡しを定めた層です。具体的に説明すると、誰から誰に伝送されたデータなのかを判断し、データの送信元と送信先の状態を確認して、データの送信が可能かどうかをどうやって判定するか定めたものです。ルールの中には、伝送中のエラー発生時に関するルールも定められています。
レイヤー3:ネットワーク層
OSI参照モデルのネットワーク層は、異なるネットワーク間の通信について定めた層です。具体的に説明すると、異なるネットワークへの通信を行う際に、どのような通信経路で通信を行い、どのようにデータを送信するかを定めた層です。ネットワーク上で、データの送信先や送信元を特定できるアドレスの割り当て方法なども定められています。
レイヤー4:トランスポート層
OSI参照モデルのトランスポート層は、通信の信頼性を確保する決まりを定めた層です。具体的に説明すると、送信元から送信先に、確実にデータが正しく送信されるための決まりを定めた層です。一度に伝送できるサイズに分割して送信し、分割されたデータを順番どおりに戻すことや、通信途中でデータに何らかの問題が発生した場合の決まりがあります。
レイヤー5:セッション層
OSI参照モデルのセッション層は、通信開始から終了までの手順を定めた層です。具体的に説明すると、コネクションが確立してから切断までの通信の一連の手順を管理する決まりを定めた層です。例を挙げると、ログイン開始からログアウトまでの流れや、ショッピングサイトで購入ボタン押下から情報入力を経て、購入が確定するまでの流れを定めています。
レイヤー6:プレゼンテーション層
OSI参照モデルのプレゼンテーション層は、文字コードや圧縮方式を定めた層です。具体的に説明すると、コンピュータ同士のデータ形式や圧縮方式などを合わせることによって、文字や映像データ、音声データなどに、コンピュータが違うことによって起こる不具合が生じないようにしている決まりを定めた層です。プレゼンテーション層は、セキュリティ向上のための暗号化と復号処理も担っています。
レイヤー7:アプリケーション層
OSI参照モデルのアプリケーション層は、ユーザーとアプリケーションとの直接的な橋渡しとなる決まりを定めた層です。具体的に説明すると、ファイルやメールなどのアプリケーションレベルのデータのやり取りに関する決まりを定めた層です。例えば、Webサイトであれば「http」、メールであれば「smtp」や「pop3」といったプロトコルを定めています。
OSI参照モデルのカプセル化
送信する側で流れる処理と、受信する側で流れる処理では順序が異なります。カプセル化は送信する側で流れる処理で活用され、非カプセル化は受信する側で流れる処理で活用されます。このカプセル化と非カプセル化について、それぞれ分けて解説していきます。
カプセル化
OSI参照モデルで言うと、データを送信する際はレイヤー7からレイヤー1へと順に処理され、その処理した情報をヘッダとしてデータの前に付加させていくこと、つまり、上位の処理された情報を包み込むように下位の層へと流していくことをカプセル化といいます。最終的にはレイヤー1で電気信号となって送信されます。
非カプセル化
OSI参照モデルで言うと、カプセル化された状態の情報を、レイヤー1からレイヤー7という順で処理することによって、送信側でヘッダとして取り付けた情報を外していくことを非カプセル化といいます。最終的には受信側のコンピュータのアプリケーション上でデータを受け取ります。
OSI参照モデルを知ってネットワークについての理解を深めよう
コンピュータが登場して、コンピュータ同士の通信が始まりました。違うメーカーのコンピュータと通信を可能とする目的で定められたのがOSI参照モデルです。現在のインターネット社会では重要な規定でありIT社会の基本となっています。ぜひOSI参照モデルについて知り、ネットワークについての理解を深めておきましょう。
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