目次
Kubernetesとはどういう意味?
Kubernetesはコンテナ化されたワークロードやサービスを管理するためのオープンソースプラットフォームです。
「Kubernetes」はギリシャ語に由来し、「操舵手」や「パイロット」といった意味を持つ言葉です。名前のとおりDockerなどのコンテナを操作できるもので、システムのコンテナが多くなってもKubernetesを利用すれば効率よく管理することができます。
Kubernetesを運用している企業とは
Kubernetesを運用している企業をご紹介します。
実際にITサービス基盤にKubernetesを利用してシステムのコンテナを管理している企業もありますが、まだ多くはありません。
ここではKubernetesを運用している企業をご紹介しますので、どのような企業が利用しているのか参考にしてみてはいかがでしょうか。
メルカリ
メルカリはKubernetesを導入してインフラを意識しない開発を行いました。
メルカリでは米国でサービスを開始する際、日本版アプリの流用ではなくフルスクラッチでマイクロサービス化するためにKubernetesを導入しました。
Kubernetesはマニュフェストで管理されており、自立的に動作するため、インフラエンジニアが不在の状態でも運用できています。
Airbnb
AirbnbはKubernetesを導入してマイクロサービス化を進めています。
Airbnbは民泊などの情報をシェアしているオンラインマーケットプレイスです。Airbnbでは1000人以上のエンジニアが1日500回に及ぶデプロイを行っていました。
そのため、複雑なKubernetesを抽象化してエンジニアリング作業を単純化する社内ツールなどを開発し、マイクロサービス化を進めています。
Kubernetesを使うメリット14個
Kubernetesを使うメリットをご紹介します。
Dockerなどを利用することでホスト上にコンテナを用意することはできますが、システムが複雑化すると管理が難しくなります。そういった場合にKubernetesを利用することで、さまざまなメリットがあります。
ここではKubernetesを使うメリット14個をご紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。
Kubernetesを使うメリット1:スケジューリング
Kubernetesを使うメリットにはスケジューリングがあります。
コンテナオーケストレーションエンジンであるKubernetesでは、コンテナのスケジューリングも可能です。コンテナを配置する際には、Dockerホストの種類によってaffinityを意識したスケジューリングが行えます。
また、指定がなければ自動的に状況に適したスケジューリングを行ってくれるため、ユーザーで管理する必要はありません。
Kubernetesを使うメリット2:死活監視
Kubernetesを使うメリットには死活監視があります。
死活監視とは、システムが正常に稼働しているかどうかを外部から継続的に監視することです。Kubernetesではコンテナの死活監視ができるため、ユーザー側でチェックをしていなくてもシステムに異常が発生した場合はKubernetesが知らせてくれます。
Kubernetesを使うメリット3:ログ管理
Kubernetesを使うメリットにはログ管理があります。
Kubernetesではログの管理ができます。Kubernetesにおけるログにはいくつかの種類があり、コンテナログと呼ばれるコンテナアプリケーションのログや、システムコンポーネントログというクラスタコンポーネントのログ、誰がどのような操作を行ったのかを残す監査ログなどがあります。
Kubernetesを使うメリット4:データ管理
Kubernetesを使うメリットにはデータ管理があります。
Kubernetesはシステム上でコンテナを効率よく管理するための仕組みとなっており、コンテナはデータを保持しています。
Kubernetesではコンテナ間でデータを共有することができ、さらにコンテナの1つに再起動が必要になった場合のためにデータを永続化することが可能です。
Kubernetesを使うメリット5:Dockerホストの管理ができる
Kubernetesを使うメリットには複数のDockerの管理ができる点があります。
アプリケーション実行環境であるDockerを利用すれば、システム上でコンテナを立ち上げることができます。しかしシステムが複雑化して複数のコンテナが必要になってくると、Dockerだけで管理はできません。
その点、Kubernetesであれば、複数のDockerホストを管理してコンテナクラスタを構築することができます。
Kubernetesを使うメリット6:ローリングアップデートができる
Kubernetesを使うメリットにはローリングアップデートができる点があります。
ローリングアップデートとは、同一機能を持った複数のコンピュータで構成しているシステムをアップデートする手法で、システムを稼働したまま1台ずつ順番にアップデートを行います。
Kubernetesのローリングアップデートでは、Dockerコンテナを使ったサービスのアップデートが可能です。
Kubernetesを使うメリット7:サービスディスカバリができる
Kubernetesを使うメリットにはサービスディスカバリができる点があります。
マイクロサービスアーキテクチャでは、機能ごとのコンテナイメージを使用してデプロイする必要があります。そのため、サービスディスカバリの機能が必要です。
その点、Kubernetesはサービスの機能を利用することで、サービスディスカバリの実施が可能です。
Kubernetesを使うメリット8:Infrastructure as Codeができる
Kubernetesを使うメリットにはInfrastructure as Codeがあります。
Infrastructure as Codeとは、組織でバージョン管理を行っている場合に、インフラ構成を再利用性の高いコードにすることでバージョン管理ができる仕組みです。
Kubernetesの構成管理はyamlファイルで行われており、Infrastructure as Codeを実施できます。
Kubernetesを使うメリット9:ロードバランシングができる
Kubernetesを使うメリットにはロードバランシングがあります。
仮想マシンにはロードバランサを設定することでエンドポイントを払い出す仕組みがありますが、Kubernetesにも同じ機能を持っており、特定のコンテナ群に対してロードバランシングができます。
Kubernetesのロードバランシング機能では、スケール時の自動追加や削除、障害時の切り離しなどが自動で行えます。
Kubernetesを使うメリット10:セルフヒーリングができる
Kubernetesを使うメリットにはセルフヒーリングがあります。
万が一障害が発生してプロセスが停止した場合でも、Kubernetesは死活監視を行っているため、自動的にコンテナのスケジューリングを行ってセルフヒーリングすることができます。
Kubernetesにとってもセルフヒーリングは重要な要素となっており、サービスに影響を出さずに自動復旧させることが可能です。
Kubernetesを使うメリット11:エコシステムとの連携や拡張ができる
Kubernetesを使うメリットにはエコシステムとの連携や拡張ができる点があります。
ITにおけるエコシステムとはさまざまな企業が共存できる仕組みのことで、構成要素それぞれが平等に利益を得られるようになっています。
Kubernetesは外部のエコシステムとの連携も可能なプラットフォームとなっており、多くのミドルウェアがKubernetesをサポートしています。
Kubernetesを使うメリット12:ワークロード管理ができる
Kubernetesを使うメリットにはワークロード管理があります。
Kubernetesはコンテナ化されたワークロードやサービスを直感的な操作で管理できるプラットフォームです。
Kubernetesを利用することで、ワークロード用にコンテナを大規模にデプロイするために必要な管理機能や自動化機能などを手に入れることができます。
Kubernetesを使うメリット13:スケーリングやオートスケーリングができる
Kubernetesを使うメリットにはスケーリングやオートスケーリングがあります。
Kubernetesはスケーリングのためのメカニズムも提供します。負荷に応じて自動的にコンテナのレプリカ数をオートスケーリングしたり、リソースが不足している場合はKubernetesクラスタのオートスケーリングなども行います。
Kubernetesを使うメリット14:信頼性が変わる
Kubernetesを使うメリットには信頼性が変わる点があります。
Kubernetesはアプリ運用に関するさまざまな工程を自動化し、作業を効率化することができるプラットフォームです。Kubernetesを利用することで、修正や機能追加を行う際にもアプリを止める必要がありません。
そのため、開発したアプリの利便性を上げることができ、さらに信頼性の面でも大きく向上させることができます。
Kubernetesの構造とは?6つ紹介
Kubernetesの構造についてご紹介します。
Kubernetesはコンテナを管理し、自動化する「コンテナオーケストレーション」を目的とした仕組みになっています。それでは、具体的にどのような構造になっているのでしょうか。
ここでは最後にKubernetesの構造6種類をご紹介していきますので、Kubernetesについてより理解を深めてみてはいかがでしょうか。
Kubernetesの構造1:Pod
PodはKubernetesが管理できる基本的な実行単位で、最小単位です。
Kubernetesは直接コンテナを管理しているのではなく、実際にはPodを経由して管理しています。PodにはDockerなどのコンテナが1つ以上含まれており、自動的にIPアドレスが割り当てられています。
また、Podにはコンテナ間で共有するストレージが含まれています。
Kubernetesの構造2:namespace
namespaceは同一の物理クラスター上で動作する複数の仮想クラスターの仕組みです。
namespaceは複数のチームやプロジェクトにまたがるケースでの導入が推奨されている仕組みで、namespaceを利用することで複数のエンジニアチームで1つのKubernetesクラスターを利用することができるようになります。
Kubernetesの構造3:Deployment
DeploymentはPodとReplicaSetの宣言的なアップデート機能です。
Deploymentはデプロイ管理の仕組みを提供するもので、DeploymentはReplicaSetを生成、管理し、ReplicaSetはPodを生成、管理する仕組みになっています。
Deploymentを定義することにより、コンテナイメージのバージョンアップなどがあった場合、すべてリソースに適用できます。
Kubernetesの構造4:StatefulSet
StatefulSetは状態を保持するアプリケーションを管理するためのワークロードAPIです。
StatefulSetは名前のとおりステートフルなアプリケーション管理のためのオブジェクトです。
StatefulSetには安定したネットワーク識別子や永続ストレージ、順序付けされたグレースフルなデプロイとスケール、順序付けされた自動ローリングアップデートなどの項目を要求するアプリケーションに適しています。
Kubernetesの構造5:Service
ServiceはPodへの接続を解決する抽象的なオブジェクトです。
Serviceには「ClusterIP」「NodePort」「LoadBalancer」「ExternalName」の4つの種類があり、Podの集まりで実行されるアプリケーションをネットワークサービスとして公開することができます。
Kubernetesの構造6:Kubernetes Cluster
Kubernetes Clusterはアプリケーションを実行するためのノードのグループです。
Kubernetes Clusterには最低でも1つのワーカーノードとマスターノードが含まれます。また、Kubernetesを実行する場合はKubernetes Clusterが実行されています。
Kubernetesの特徴を理解しよう
Kubernetesとはコンテナ化されたサービスを効率的に管理するために便利なオープンソースプラットフォームです。
ぜひこの記事でご紹介したKubernetesを使うメリットやKubernetesの構造などを参考に、Kubernetesについて理解を深めてみてはいかがでしょうか。
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