ラズベリーパイとは？ラズベリーパイでできること18選や利用する際の注意点

ラズベリーパイ（Raspberry Pi）とは何なのか？ラズベリーパイを使えばどんなことができるのか？

この記事では上記の疑問をお持ちの方のために、インフラエンジニアを中心としたITエンジニアの派遣サービスを運営する当社（株式会社夢テクノロジー）、元エンジニアの当サイト編集長が監修し、執筆しました。

ラズベリーパイ（Raspberry Pi）とは

ラズベリーパイは、イギリスのラズベリーパイ財団が開発している「シングルボードコンピュータ」です。
シングルボードコンピュータは一般的なPCとは違い、基盤やCPU、メモリがむき出しになっている小型のパソコンのことで、当初は子どもたちにプログラミングを教えるための安価な教育用に開発されました。現在は使い勝手の良さから、ロボットの組み読み用のIoT機器など業務や趣味用として多くのエンジニアに愛用されています。

 

ラズベリーパイ4の性能

ラズベリーパイの最新モデル「Raspberry Pi 4（Raspberry Pi4 Model B）」が現在、発売されています。その特徴を以下で簡単にまとめました。

メモリが1GB/2GB/4GBの3モデルから選べる
USB 3.0ポートを２つ搭載
USB 2.0ポートも２つ搭載
周辺機器との通信が高速化
電源ポートをUSB Type-Cに変更
micro HDMIポートは4K60pの映像出力に対応
このように非常にパワフルな性能に進化しています。
それではラズベリーパイはどのように活用されているのでしょうか。その一例を次で紹介します。

ラズベリーパイの人気が高い理由

ラズベリーパイはもともと教育用のコンピュータとして開発されたため、小学生やパソコン初心者であっても使いやすくなっています。また、互換性も重視されていることから、これまで発売されてきたどのラズベリーパイでも共通のOSの動作が可能でした。

さらに、ラズベリーパイ財団が定期的にラズベリーパイ関連の周辺機器を販売していることも、ラズベリーパイの人気が衰えない理由だと言えるでしょう。

ラズベリーパイ（Raspberry Pi）でできること18選

ラズベリーパイの使い道の例を以下で簡単に挙げていきます。興味があるものがあれば、ぜひチャレンジしてみてください。

産業利用

ラズベリーパイは産業利用で活用することも可能です。仕事で何らかのプロトタイプの開発を行いたい場合、ラズベリーパイは非常に有用なツールとして利用できるでしょう。
ここでは、まずは産業利用でのラズベリーパイの利用方法についてご紹介していきます。

1：音楽プレイヤー

ラズベリーパイを使って、MP3ファイルを再生することが可能です。この機能を使って、簡単な音楽プレイヤーとして活用することができます。比較的難易度が低めなので初心者にもおすすめです。楽しく、実用的にラズベリーパイの使い方を学ぶことができると思います。

2：ウェアラブル端末

上級者のなかにはウェアラブル端末を作った人もいます。端末ではカレンダーのほか、フリーのオフィスソフトを使って原稿の作成も可能。市販品と比べると携帯性には少し劣りますが、アイデア次第でオンリーワンの機能を持った端末を作ることができます。

3：スマートホーム

スマートホームは近年注目されているIoTによって、より便利な暮らしを実現するシステムです。ラズベリーパイとAppleのスマートホームであるHomeKit、学習リモコンのIRKitを利用すれば、音声だけで家電を操作することができるスマートホームも開発することができるでしょう。

4：監視カメラ

小型のラズベリーパイであるラズベリーパイゼロを利用することで、定期的にカメラで撮影を行い、Slackに画像を投稿する監視カメラを構築することも可能です。たとえば、自宅で留守番しているペットなどの様子を確認したい人に最適です。

撮影用のカメラは市販のものを購入する必要がありますが、場合によっては非常に便利に利用できるでしょう。

5：ドライブレコーダー

ラズベリーパイゼロを使ったドライブレコーダーの開発も可能です。カメラモジュールであるPi NoIR Camera V2や広角レンズ、それらを内蔵できるケース、モバイルバッテリーを用意することで、mp4での動画撮影や定期的に静止画を撮影するドライブレコーダーが作れます。

6：モバイルルーター

ラズベリーパイ3と格安SIMがあれば、モバイルルーターを作ることも可能です。格安SIMを利用する場合にはモバイルルーターが必要ですが、自作の場合は5000円以下でも作ることができます。

市販のモバイルルーターよりも安いため、モバイルルーターを持っていないという方は作ってみてはいかがでしょうか。

7：機械学習

ラズベリーパイは機械学習を利用したシステムの開発も可能です。たとえばラズベリーパイを使うことで数字を正しく認識したり、物の認識を行うことできゅうりの仕分けを行ったり、音を認識することによって機械の稼働状況をチェックしたりといったことが可能になります。

8：ゲームコンソール

ラズベリーパイ3やゲームコンソールを作ることも可能です。ラズベリーパイとラズベリーパイ専用のACアダプタ、ケースなどを用意して、ゲームコンソールを自作している人も多いです。
また、完全に新しく作るのではなく、レトロゲーム機の部品を利用してラズベリーパイを組み込むという方法もあります。

業務利用

ラズベリーパイを利用することで、さまざまなもののプロトタイプが開発できることをご紹介してきましたが、ラズベリーパイは業務利用にもおすすめです。ラズベリーパイを業務で活用することで、コストの削減や業務効率の向上などのさまざまな業務改善の可能性があります。
ここでは業務利用でのラズベリーパイの利用方法についてご紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてください。

9：ファイルサーバー

ラズベリーパイ4などの処理が高速化された新しいラズベリーパイを利用することで、自宅用や業務用のファイルサーバーを開発することもできます。それまでのラズベリーパイは処理能力の問題から反応速度も遅く、あまり実用的ではありませんでしたが、ラズベリーパイ4であれば運用に足るファイルサーバーが作れるでしょう。

10：ウェブサーバ

ラズベリーパイ財団の公式Webサイトは、実はクラスタ化されたラズベリーパイで作成されています。小さなラズベリーパイでも数を集めれば、数千万人のアクセスが集中するようなWebサイトのサーバーにもなります。
そのため、ラズベリーパイを利用したWebサーバも構築が可能です。ただし、ラズベリーパイを利用する場合はセキュリティも考慮する必要があるため、ホスティング業者に管理してもらうと良いでしょう。

11：プロジェクト管理

ラズベリーパイにRedmine 3.3をインストールすることで、プロジェクト管理に用いることも可能です。社内向けのプロジェクト管理であれば利用人数も限られるため、データベースへのアクセスの速度などの運用上の問題が出ることも多くはないでしょう。

12：オンラインストレージ

ラズベリーパイにownCloud 9.1をインストールすることで、オンラインストレージを構築することもできます。社外の相手とのファイルの受け渡しなどの用途で利用できるでしょう。

13：ネットワーク監視ツール

ラズベリーパイとNagiosPi、SDカードなどを利用することで、ネットワーク監視ツールを作ることもできます。自分のWifiに別のデバイスが接続していないかどうか、チェックすることができます。

14：OPC UAのサーバー

OPC UAサーバーは産業用のサーバーの規格で、さまざまな規格を超えて通信やデータ収集ができる通信規格です。ラズベリーパイを利用することで、OPC UAサーバーを構築することも可能です。

15：プログラミング教材

ラズベリーパイはもともと子供用の教育用コンピュータとして生まれたもので、最初からプログラミング言語がインストールされています。

また、デフォルトで「Thonny」というPythonの統合開発環境も入っているため、一から開発環境を整えなくてもすぐにPythonでのプログラミングに挑戦できます。

さらに、ラズベリーパイはSDカードにコピーすることで環境構築ができるため、大人数でのプログラミングの環境構築にもおすすめです。

16：来客通知システム

ラズベリーパイとカメラモジュール、デジタル光強度センサモジュールなどを利用することで、インターホンの呼び出しに応じてカメラで画像を撮影し、メール送信まで行う来客通知システムを構築することができます。

来客が来た際にメール送信を行うインターホンがあるため、インターホンはそれを利用するようにしましょう。

17：ロボットの作成

ラズベリーパイを利用することでロボットカーなどのさまざまなロボットを作ることができます。市販のロボットキットなども販売されているため、キットを利用することで本格的なロボットが作れるでしょう。

18：メールの送受信

ラズベリーパイにRoundcubeをインストールすることで、メールの送受信もできます。業務で利用している会社のメールを、業務用のパソコン以外でも受信したいケースなどに活用できるでしょう。

ラズベリーパイ（Raspberry Pi）を利用する際の注意点

ここまでご紹介したとおり、ラズベリーパイはそれ1台だけでさまざまなものが作れる非常に便利なコンピュータです。しかしラズベリーパイには利用する際の注意点もあります。

ここでは、最後にラズベリーパイを利用する際の注意点をご紹介しますので、どのような注意点があるのかしっかりと押さえておきましょう。

発熱用にファンが必須

ラズベリーパイ財団によると、ラズベリーパイのCPU温度は85℃が上限とされています。高性能でさまざまなことに利用できるラズベリーパイ4も、CPU温度が85℃に近くなると温度を抑えるためにパフォーマンスが落ちる仕組みになっています。

そのため、実際に利用する場合には放熱のことも考慮して、発熱用のファンを付けなければ実用化できないケースも多いでしょう。

A/D変換ができない

ラズベリーパイはI2Cやシリアルなどのピンヘッダ経由のデジタル信号入力は可能でしたが、センサー出力などに用いられているアナログ信号には対応できていません。

しかし、近年では、アナログ信号をデジタル信号に変換できるA/D変換モジュールも製品化されており、高精度の計測用途にも利用できる精度の高いラズベリーパイ専用A/D変換モジュールも登場しています。

ラズベリーパイ（Raspberry Pi）でできることを理解して一段上のエンジニアを目指そう

ラズベリーパイは元々は教育用だったこともあり、プログラミングを学ぶには最適のパソコンです。初心者だけでなく、できることも幅広いのでプロのエンジニアにもおすすめです。価格も比較的安いのでぜひ購入して試行錯誤してみてはいかがでしょうか。