目次
DNSとは
DNSとは「Domain Name System」の略で、現在のインターネットを利用する際には必要不可欠となるシステムです。インターネット上のドメイン名の管理や運用は、このDNSサーバーが担っています。
IPアドレスとドメイン名を対応づける仕組みがDNSであり、インターネット上の住所録と言えます。
初心者の方からすると、説明文が複雑で理解が難しいことがあります。そのため、ここではDNSとは何か、わかりやすく説明していきます。
IPアドレスとは
「IPアドレス(Internet Protocol Address)」とは、インターネットに接続する機器にそれぞれ設定される、数字とピリオドの組み合わせで構成されたアドレスのことです。
インターネット上での通信は全て、受信側と発信側のIPアドレスを用いており、実際には「129.69.53」のように表記されます。
そして、データのやりとりの際に通信相手を間違えることのないよう、IPアドレスで通信相手の特定をしているということになります。
DNSサーバーの仕組み
インターネット上のWebサイトや電子メールを見る際にはIPアドレスが必要となり、その受信及び発信源を、数字とピリオドで覚えることは非常に困難と言えます。
そのため、複雑な数字で構成されるIPアドレスを、人が覚えやすいように「.jp」や「.ad」などのドメイン名へ変換することが、DNSサーバーの仕組みとなります。
わかりやすく例えると、該当する住所を緯度と経度で表すのではなく、都道府県や州、番地などにより特定するようなことを言います。
DNSサーバーの役割2つ
DNSサーバーの役割は、コンテンツサーバーの役割とキャッシュDNSサーバーの役割の2つに分けることができます。どちらも重要な役割であり、インターネット上の通信の仕組みとしては必要不可欠となります。
ここでは2つの役割とは何か、個別に詳しくご紹介します。
DNSサーバーの役割1:コンテンツサーバー
コンテンツサーバーとは「権威DNSサーバー」のことをさすIT用語となります。
その役割とは、保有する情報を公開することであり、紐付けされたIPアドレスとドメイン名に関して、管理の範囲内の問い合わせに関しては、その対応表を基準に返事をすることです。
また、管理をしているファイルのことは「ゾーンファイル」と呼ばれ、コンテンツサーバーを上位のDNSサーバーに登録することにより、ルートからドメインの階層をたどって目的のドメインを見つけ出すことができます。
DNSサーバーの役割2:キャッシュDNSサーバー
DNSサーバーのもう1つの役割とは、キャッシュDNSサーバーとしての役割であり、利用者からのリクエストを受け結果を返す役割です。
例えば「www.〇〇.jp」などのドメイン名から、IPアドレスを調べたいといった場面に用いられます。そのため、過去にあった問い合わせの情報がキャッシュされており、有効期限(TTL)に基づいてキャッシュを管理することで、名前解決の迅速な対応を可能とします。
DNSサーバーのエラーが起こる原因4つ
ここまでは、DNSサーバーの仕組みや役割について解説してきました。
インターネットを利用する際に、こういった仕組みや役割を常に意識する人は少ないでしょう。
しかし、インターネットを利用しているときに、DNSサーバーのエラーに出会う可能性は誰にでもあります。
そのようなときのために、ここからはDNSサーバーのエラーが起こる原因について4つ解説していきます。
DNSサーバーのエラーが起こる原因1:DNSサーバーに接続できていない
複数のパソコンやタブレットなど無線LANで共有接続をしているときや、ケーブルテレビやPSPなどを有線でつないでインターネットを利用しているときに、別のパソコンからインターネットに接続すると、DNSサーバーのエラーが発生する場合があります。
いずれも、ネットワークの構成が共有接続になっていて、ルーターがIPアドレスを自動で振り分ける際に問題が発生しています。
これは、IPアドレスを手動で設定することで解決することがあります。
DNSサーバーのエラーが起こる原因2:Webサービスが停止している
そもそもWebサービス自体が停止しているときに、DNSサーバーのエラーが発生するがことがあります。
定期的に行うバッチ処理や、サイトの更新などのメンテナンス中のとき、店舗の閉店など、すでにWebサービスを終了したときが考えられます。
通常は「システムメンテナンス中」や「閉店しました」といったお知らせページを用意していることが多いですが、そのようなページが用意されていない場合にDNSサーバーのエラーが表示されることがあります。
DNSサーバーのエラーが起こる原因3:ネットに接続できていない
通常、パソコンやスマホなどの端末は、モデムやルーター、ハブを通じて、インターネットに接続しています。
この間の接続に不備があるとインターネットに接続できません。
見落としがちですが、コンセントが抜けていたり、LANケーブルを正しい差込口に差していなかったり、モデムやルーターの電源自体がOFFになっている場合、もちろんインターネットには繋がりません。
パソコンの設定などを見直す前に、基本的な接続状況の確認をおすすめします。
DNSサーバーのエラーが起こる原因4:DNSサーバーのダウン
DNSサーバーのエラーが起こる原因として、目的のDNSサーバー自体がダウンしていることが考えられます。
DNSサーバーがダウンする原因としては3つの可能性があります。
サイバー攻撃などによる過剰アクセス、自然災害などによるサーバー自体の物理的な故障、広告を出した際などのアクセス集中による回線の混雑の3つです。
これら3つの可能性について、それぞれ詳しく解説していきます。
過剰アクセスを受けている
悪意ある者からのサイバー攻撃によって過剰アクセスを受けることにより、サーバーが対応しきれなくなりダウンすることがあります。
「Dos攻撃」というものがあり、大量のトラフィックを外部から発生させて、サーバーに負荷をかけてダウンさせます。
また「F5攻撃」というものもあります。ブラウザのリロードを大量に行い、サーバーがリクエストに対応しきれずダウンしてしまうというものです。
サーバー自体の故障
台風や落雷などの自然災害によって、サーバー自体が物理的に傷ついて故障することがあります。
その際、停電が起きてもサーバーは停止します。
もちろん無停電装置のようなものでバックアップしていますが、その電源が切れる前に復旧しないとサーバーは停止してしまいます。
またサーバーは24時間稼働しているので、電気を供給しているパーツは常に熱を帯びており、劣化もしやすいです。
そういったパーツの故障でサーバーに障害が発生します。
回線が混雑している
ECサイトを運営している場合など、新商品の発売や安売りセールの開催のタイミングで、アクセスが集中し回線が混雑することがあります。
その時回線上では交通整理が行われるので、速度が遅くなります。
一定時間内にリクエストに対する返事がないと、タイムアウトでサーバーに繋がらないということが起こります。
仮にサーバーまでリクエストがたどり着いても、サーバーの処理能力を超えたアクセスが集中してしまうとサーバーはダウンしてしまいます。
DNSサーバーのエラー対処法
DNSエラーとは、数字のIPアドレスと文字のサイトアドレスが上手く紐付けされていない状態のことを表します。
原因はさまざまですがこのような場合、「DNSサーバーに問題が有る可能性があります」などの表示がされ、インターネットへ接続できなくなっていることが多いと言われています。
また、PS4やスイッチなどのゲーム機器に関しても同様、起こり得る状況ですので、事前に知っておく価値があります。
ここでは、DNSにエラーが起きた際の対処法を5つほどご紹介します。
DNSサーバーのエラー対処法1:トラブルシューティングする
トラブルシューティング(troubleshooting)とは、問題解決の方法論や不具合を解消するための手順などをまとめたマニュアルのことです。
コンピュータの使用中におきた障害を解消することで、ハードウェア等のトラブルの原因を取り除くことができます。
IT関連の企業などは、独自の解消方法を紹介しており、その内容をトラブルシューティングと呼ぶ場合もあります。また、トラブルシューティングのツールを持つ製品も存在しており、その例として「Firefox」「Windows」などが挙げられます。
DNSサーバーのエラー対処法2:再起動してみる
DNSにエラーが起きた場合の対処法として、再起動が効果的なケースがあります。
PCやルーターを再起動することで、自動的に復旧されることがあり、ネットワークドライバーやインターネット回線の一時的なトラブルに有効的なこともあります。
しかし、再起動後にも解決が見られない場合、他の対処法を試すことが必要となります。
DNSサーバーのエラー対処法3:DNS設定を見直す
DNS設定を見直すことは、トラブル解決につながる可能性があります。
このケースの場合、DNSサーバーアドレスを手動で設定することができるため、自動所得よりも的確に対応することが可能です。また、それぞれの通信機器によって設定方法が異なりますので、自分の端末の設定方法を調べる必要があります。
DNSサーバーのエラー対処法4:ルーターとの距離を近づける
ルーターとの距離を近づけることは、通信環境が改善されることがあり、それによって滞っていたインターネット通信が潤滑になり、一時的な問題解決につながることがあります。
しかし、一時的な改善の場合があるので、通信環境の見直しも視野に入れなくてはならない可能性があります。
DNSサーバーのエラー対処法5:パブリックDNSを使用する
パブリックDNSサーバーとは誰からの質問にも答えることが基本となっているDNSです。
また、DNSサーバーに比べて非常に高速に処理できるような仕組みを採用しており、ページの開く速度が大きく改善することもあります。
フリーのWi-Fiスポットなどの場合セキュリティの心配があり、ルーターの乗っ取りなどにあった時正しいURLを入力していても偽サイトへ誘導されることがあります。
しかし、信頼性の高いパブリックDNSサーバーを設定することで、偽サイトへの接続といった危険性を回避することできます。
パブリックDNSサーバー4選
信頼性の高いパブリックDNSサーバーを設定することで、よりインターネット環境を改善することができ、セキュリティ面の向上も期待できます。
無料でできるパブリックDNSサーバーも存在しており、応答速度や情報量、セキュリティの面から4つほどご紹介します。
自分で信頼できるパブリックDNSの設定をすることによって、より良い環境を作り上げることも可能となります。
パブリックDNSサーバー1:Quad9
Quad9とは、個人情報の盗難、漏洩やランサムウェア・マルウェアの感染、不正行為の確認ができたWebサイトからの保護を目的としたサービスです。
他のサービスと異なる点は、ユーザーの個人情報を保管、関連付けその他の方法で使用することがないと言われている点です。
Qua9のセキュリティとプライバシー機能を利用する場合には、DNSサーバーとして「9.9.9.9」を使用する必要があるため、切り替え手順の把握が必要となります。
パブリックDNSサーバー2:Google Public DNS
Google Public DNSとは、幅広い知名度を誇るGoogleが提供するDNSサーバーです。
DNS設定に必要なIPアドレスは「8.8.8.8」と「8.8.4.4」で覚えやすく、応答速度やセキュリティにも信頼性が高いと言えます。
また、Google Public DNSの一番のメリットとも言えるのが、その膨大な情報量となります。
パブリックDNSサーバー3:Cloudflare
Cloudflareとは無償のDNSサービスで、アクセスログを保管しない高速なサービスとなっています。
IPアドレスは「1.1.1.1」であり、セキュリティの信頼性も高いと言えるサービスです。
同じく無償で提供されている、「1.1.1.1 for Families」では一般向けとなっており、DNSのレベルでマルウェアやアダルトコンテンツをブロックし、セキュリティを高めることが目的となっております。
パブリックDNSサーバー4:OpenDNS
フィルタリングの精度が高く、企業一般ともに安心して活用がしやすいと言えるのが、このOpenDNSとなります。
OpenDNSとはアメリカのCisco Systems, Incが提供するサービスで、日本語には対応していませんが、3段階による高度なフィルタリング機能が、無料で使える点がOpenDNSのメリットと言えます。
DNSサーバーの仕組みや役割を知ろう
DNSとはIPアドレスとドメインネームを関連付ける役割があり、インターネット上の住所録とも言えます。
また、DNSエラーの原因はさまざまであり、トラブルシューティングやDNS設定の見直しなどによって、問題の改善方法となる可能性があります。
DNSエラーの対処法や、環境に応じてパブリックDNSの設定をすることもあわせて覚えておくことにより、自分にあったインターネット環境を作り上げることが可能です。
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