RHELはどんなLinux?特徴や無償で使えるプログラムも紹介
RHELとはどんなLinux?
RHELとは「Red Hat Enterprise Linux」という、Red Hatが提供している企業に向けたLinuxディストリビューションです。
無償提供されているものも多いLinuxディストリビューションの中では珍しく有料のサービスとなっていますが、それだけ信頼性も高いです。
また、RHELはノートパソコンからメインフレームまで幅広いハードウェアに対応しており、主に企業でサーバー用OSとして利用されています。
RHELの歴史
RHELの歴史は1993年。Red Hat Enterprise Linuxの前身、Red Hat Linuxから始まりました。
Red Hat Linuxは、Slackwareなどと並ぶ最古のLinuxディストリビューションのひとつです。
Red Hat Linuxは当初、RPMパッケージという管理システムを採用し、GUIインストーラーにAnacondaが採用されていました。
1990年代後半になると、SAP社やOracle社などがRed Hat Linux上での動作を保証するようになります。
しかし当時のRed Hat Linuxはライブラリなどの互換性がなかったため、企業で利用するには難しい状態でした。
そこで方向転換し、企業向けに長期間安定して提供されるOSとして、2002年に誕生したのが「Red Hat Enterprise Linux(RHEL)2.1」です。
その後2~3年おきにメジャーバージョンアップを繰り返して現在に至ります。
Fedoraとの分岐
Red Hat Enterprise Linuxが企業向けのエンタープライズ製品になったこととは反対に、これまでのRed Hat Linuxはコミュニティーベースである「FedoraCore」として新しく登場することになりました。
このFedoraCoreは現在のFedoraであり、FedoraのRed Hat社が提供している最先端のLinuxディストリビューションです。
RHELの特徴4つ
企業向けのLinuxディストリビューションとして高い信頼性を持っているRHELですが、RHELとは具体的にどのような特徴を持つLinuxディストリビューションなのでしょうか。
ここではRHELの特徴4つをご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
1:企業や公的機関で広く利用されているLinux
RHELはエンタープライズ向けのLinuxディストリビューションとして多くの企業が利用しており、これまで公的機関にも導入した実績を持っています。
RHELは有料である一方で、業務向けLinuxとしてトラブル発生時にRed Hat社からのサポートを受けることができることから、信頼性も高い製品となっています。
2:十分な検証がされる開発体制
RHELではRed Hat社の実験場としてさまざまな技術が利用されるFedoraでの成果をもとに、順次新しい技術を導入していく開発体制になっています。
そのため、十分な検証を行ったのちにRHELのメジャーバージョンアップの際にまとめてアップグレードされるようになっており、サーバー用OSに必須の整合性を確保し、安定した稼働を実現します。
3:長期のサポートがつく
RHELでは10年という長期サポートがつきます。一般的なIT製品のサポートとしても異例の長さを誇っていますが、RHELは企業向けに提供されている以上、安定したサービスの提供が必須です。
そのため、この長期サポートがいくつかの種類がある有料のLinuxディストリビューションの中でもRHELをトップシェアへと導いています。
サブスクリプションとは
RHELは本体そのものを販売しているのではなく、1年もしくは3年単位でのサブスクリプションで提供されています。
RHELのサブスクリプションには「デスクトップ」「ワークステーション」「サーバー」「メインフレーム」向けなどの製品があり、利用している間は知的所有権の保証やソフトウェアの更新、その他の技術的サポートを受けることができます。
4:販売形態が複数ある
RHELの販売形態には複数の種類があります。具体的には、Red Hat社の直販営業、Red Hat認定ディストリビューターによって販売されているリテール版、サーバーベンダーから販売されているOEM版の3種類です。
ここではRHELの販売形態の特徴についてそれぞれご紹介していきます。
直販
直販とは、文字のそのままRed Hat社の直販営業としてRHELを販売することです。直販のRHELの場合、サポートは1〜3次サポートまでRed Hatが対応することになります。
リテール版
リテール版とは、Red Hat認定ディストリビューターが販売しているRHELです。リテール版のRHELの場合も、サポートは1〜3次サポートまでRed Hatが対応することになります。
また、購入元は違いますが、OSとしてはRed Hatの直販のRHELと同一のものです。
OEM版
OEM版とは、サーバーベンダーが販売しているRHELです。OEM版のRHELの場合はサポートは1〜2次サポートまでサーバーベンダーが対応し、3次サポートはRed Hatが対応することになります。
また、基本的にはRed Hat直販のRHELと同一ではありますが、OEM版の場合は自社サーバーで利用するためのハードウェア監視プログラムやデバイスドライバーなどがセットになっているケースもあり、付属品のサポートも提供している場合があります。
RHELを無償で利用可能なプログラムとは?
RHELは有償のサブスクリプションとして販売されているLinuxディストリビューションですが、RHELを無償で利用することが可能な開発者向けの「Red Hat Developer」プログラムというものが存在します。
ここでは最後に、RHELを無償で利用できる「Red Hat Developer」プログラムについて詳しくご紹介していきます。
許諾される用途や台数は?
「Red Hat Developer」プログラムは以前から提供されていたプログラムで、小規模本番ワークロード向けに1台のマシンでのみ利用できるように制限されていました。
しかしその後、「Red Hat Developer」プログラムが拡大され、「Individual Developerサブスクリプション」としてノーコスト版RHELとしてのサービスが開始されたため、現在では最大16台の本番環境システムで利用することが可能になりました。
終了するCentOSの代替として
これまでRed Hat社から提供されてきたCentOSはその位置づけが変更され、これまでのような安定したRHELのクローンとしてのCentOSは終了することになり、今後はRHELの次のマイナーバージョンとして提供されることになりました。
そのため、CentOSの代替として、ノーコスト版のRHELである「Red Hat Developer」プログラムが提供されることになりました。
RHELについて知ってエンタープライズ向けLinuxの性質を理解しよう
RHELとはRed Hat社が提供しているエンタープライズ向けのLinuxディストリビューションです。有償である代わりに安定性があり、サポートを受けられるなどの特徴があります。
ぜひこの記事でご紹介したRHELの歴史やRHELの特徴、RHELを無償で利用できるプログラムなどを参考に、企業向けLinuxディストリビューションとして提供されているRHELについて理解を深めてみてはいかがでしょうか。
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