プログラミング授業の必修化で子供たちはどうなる?目的や背景と経緯を解説

プログラミング授業の必修化で子供たちはどうなる?目的や背景と経緯を解説

目次

プログラミング教育必修化の目的3つ


2020年から小学校でのプログラミング教育が必修化されました。
プログラミング教育とは、プログラミングに必要な論理的思考力などを養うことです。

それでは、プログラミング教育必修化はどのような目的から行われるのでしょうか。
ここではプログラミング教育必修化の目的3つをご紹介します。

1:プログラミング的思考を育む

プログラミング教育は、実践的なプログラミングのスキルの習得ではなくプログラミング的思考を育むことを目的としています。
プログラミング的思考とは、物事に対して道筋を立てて考えていく論理的な思考力のことを意味します。
プログラミング的思考を身につけることで、問題解決のために必要な力を養うことができるでしょう。

2:情報技術の重要性を認識し活用する姿勢を育む

現代社会ではさまざまな場所でコンピュータが活用されており、人々の生活にも密接に関わっています。
そのため、コンピュータによって自分達の生活が便利になっていることや、そのコンピュータシステムは人が作っているということにも気づくことが大切です。

プログラミング教育では、プログラミングの良さや働きを認識することにより、これらの技術を活用する姿勢を養うことも目的としています。

3:各教科での学びへ活かす

プログラミング教育によって他の教科の学びを確かにすることも目的の1つです。
たとえば算数の授業で図形について学ぶ際に、プログラミングによってコンピュータへの命令を組み合わせることにより意図している図形ができることで、図形についての性質をより深く理解できるようになるでしょう。

必修化によって教育はどうなる?


プログラミング教育の必修化によって、小学校だけでなく中学校や高等学校での教育は大きく変わります。
それでは、プログラミング教育の必修化で今後の教育はどうなるのでしょうか。
本記事で後述します。

プログラミング教育必修化で知っておきたい4つのポイント


プログラミング教育必修化という言葉は知っていても、具体的にどのような教育が行われるのか知らないという方は多いでしょう。
ここでは、プログラミング教育必修化で知っておきたい4つのポイントについてご紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてください。

1:プログラミングという科目ができるわけではない

前述のとおり、プログラミング教育の目的はプログラミングのスキルを身につけることではないため、プログラミングという科目が新しく作られるわけではありません。
また、プログラミング的思考を養うための授業が行われるため、プログラミングに関する教科書を利用することもありません。

2:成績評価には影響しない

プログラミング教育は他の教科の理解を深めることも目的としているため、プログラミング教育のみでの評価を行うことはありません。
また、プログラミングに関する理解が成績に反映されることもなく、プログラミング教育に関する試験を実施することもありません。

3:必ずパソコンを使用するわけではない

プログラミング教育は学校によってどのようなスタイルで授業を行うのかには違いがありますが、基本的に各家庭でパソコンを用意する必要はありません。
基本的には学校のパソコン室で授業をしたり、タブレットなどの機器を学校で導入したりして授業を行います。

なお、プログラミング教育に必要とされる環境は国によって整備される予定になっています。

4:プログラマーの育成が目的ではない

プログラミング教育必修化は社会で活用されているコンピュータ関連技術などを認識することを目的としており、プログラミングスキルを持った将来のプログラマーを育成することが目的ではありません。
情報化社会において身の回りに溢れているプログラミングで開発されたサービスについて理解することで、当たり前のことを知ることがプログラミング教育必修化だと言えます。

プログラミング教育必修化の背景と経緯4つ


小学校からのプログラミング教育必修化には、IT技術の急激な進歩や現在の日本が抱えているIT人材不足などが背景となっています。

ここではプログラミング教育必修化の背景と経緯4つについて詳しくご紹介していきますので、どのような背景から必修化されたのか理解を深めてみてはいかがでしょうか。

1:IT技術が進歩する中でのIT人材の不足

情報化社会である近年では、身の回りにあらゆるICT機器が普及しています。
しかしその一方でIT人材は不足しており、今後IT化が進んでいくのとは反対に、IT人材不足は加速していくと言われています。
IT技術の進歩によっては、現在の予想よりも深刻な事態になる可能性もあるでしょう。
そのことから、この先、日本語や英語を学ぶのと同じようにIT知識を学ぶことは必要不可欠となります。

2:「第26回産業競争力会議」で義務教育段階でのプログラミング教育が提言

2016年に行われた「第26回産業競争力会議」において、政府は初等中等教育からのプログラミング教育必修化を提言しました。
また、「名目GDP600兆円に向けた成長戦略」にもその内容は盛り込まれており、2020年より始まる小中学校からの初等中等教育段階でのプログラミング教育必修化について明記されています。

3:2017年3月に「新学習指導要領」が告知

2017年に告知された「新学習指導要領」では、今後の教育で新しく取り組むこととして「プログラミング教育」が盛り込まれています。
新学習指導要領には「情報活用能力の育成・ICT活用」として、小学校における文字入力などの基本操作やプログラミング的思考の育成、中学校におけるプログラミングや情報セキュリティ、高等学校における共通必修科目「情報Ⅰ」の新設などについて記載されています。

4:2020年からはプログラミング教育が拡大

2020年から小学校で新学習指導要領による教育が実施されます。
その内容として、プログラミング教育の拡大が盛り込まれているのが特徴です。
文字入力などの基本的な操作から、プログラミング体験などを行います。

社会において情報技術が果たしている役割の重要さを認識し、コンピュータへの関心を高めるのが狙いです。
自分が意図する動作をコンピュータに行わせるためにはどうすればいいのか考え、論理的思考力を育む狙いもあります。

また、小学校においては個別の科目を設けるのではなく、既存の科目の中に組み込む形で実施するのが基本です。
新学習指導要領では算数や理科、総合学習などへの組み込みが実践事例として挙げられています。
算数では正方形や正三角形などを描く方法、理科では電気を効率的に使う方法を学習する部分です。

中学校においては、小学校よりも1年遅れて2021年から新学習指導要領が始まります。
プログラミングは技術・家庭科の中に盛り込まれる予定です。

高校では中学校よりもさらに1年遅れて、2022年から新たに「情報Ⅰ」という科目が情報科の共通必修科目として新設されます。
主にプログラミングとネットワーク、データベースなどについての内容です。
さらに選択科目として「情報Ⅱ」も新設され、より高度な内容を学べる体制が整います。

【小中高別】教育はどうなる?プログラミング教育の目的と特徴3つ


プログラミング教育は小学校だけでなく、中学校、高等学校それぞれで必修化され、今後教育が行われていくことになります。
それでは、今後の教育は具体的にどうなるのでしょうか。

ここでは小中高別のプログラミング教育の目的と特徴3つについてご紹介していきます。

1:【小学校】プログラミング的思考を身近に

小学校におけるプログラミング教育は、本記事でもご紹介したとおりプログラミング的思考を育むというものです。
物事を論理的に考えるプログラミング的思考は、幼いうちから育成することによって身についていきます。
そのため、実際のプログラミングをするわけではありませんが、プログラミングに必要な思考力や判断力、表現力などを身につけていくことになります。

2:【中学校】プログラミングの基礎固め

中学校でのプログラミング教育とは、プログラミングの基礎を固めるというものです。

以前から中学校教育では技術家庭科の中にプログラミングの授業が含まれていましたが、2017年の新学習指導要領では、その上でプログラミング教育の内容を充実させるという内容になっています。
具体的には、従来の中学校でのプログラミングは計測や制御のみでしたが、今後はネットワークを活用した双方向性を持つコンテンツのプログラミングが盛り込まれています。

3:【高等学校】総合的な情報システム教育

高等学校でのプログラミング教育では、情報科に必履修科目「情報Ⅰ」を新設し、プログラミングやネットワーク、データベースの基礎といった総合的な情報システム教育が実施されるようになります。
また、必修である「情報Ⅰ」だけでなく選択科目「情報Ⅱ」も開設され、基礎だけでなく情報システムやデータを活用し、新しいコンテンツを生み出す力を育てます。

プログラミング教育の進め方3つ


ここまでプログラミング教育についてご紹介してきましたが、実際のプログラミング教育ではどのような内容で進められるのでしょうか。
ここでは最後に、プログラミング教育の進め方3つをご紹介します。

1:問題解決方法をパソコンを使わず論理的にプログラミングする

小学校におけるプログラミング教育では、プログラミングのコードを学ぶのではなくプログラミングに必要な力を養うことが目的となっています。
そのため、さまざまな問題解決の方法について、パソコンを使用せずに教育を行うアンプラグドなプログラミングを行います。
アンプラグドとは、そのまま「プラグを指していない(電子機器を使用しない)」という意味の言葉で、ここでは「パソコンを使用しない」という意味になります。

2:ブロック型プログラミング言語を活用する

プログラミング教育ではプログラミング言語によるプログラミングは行いませんが、基礎を学ぶためのブロック型プログラミング言語を活用した教育が行われます。
ブロック型プログラミングとはビジュアルプログラミングとも呼ばれ、見た目にわかりやすいブロックを操作することによって感覚的にプログラムを組むものです。

3:Web上でプログラミングができるサービスを活用する

アンプラグドなプログラミングやブロック型プログラミングよりも一歩先へ進んだプログラミング教育を行う際には、Web上でプログラミングを体験できるオンラインコンパイラサービスがあります。
オンラインコンパイラサービスであれば、自分でパソコンに環境構築をしなくてもプログラミングが始められます。

プログラミング教育必修化により教育やIT業界がどうなるか今後を期待しよう


プログラミングやセキュリティ、ネットワークなどの知識は、これからの情報化社会では欠かせません。
また、プログラミングを学ぶことで論理的思考力も鍛えられます。
小学生でIT国家資格を取得する人もたくさん出てくるかもしれません。
IT業界にとっても追い風になると期待できます。

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