目次
WBSとガントチャートの違い
WBSと同じく進捗管理ができるツールとしてガントチャートがあります。
ガントチャートは、縦軸にタスク、横軸に時間軸を置き一目見てスケジュールの全体像を把握します。
一方でWBSは、タスクを細分化して分かりやすくした表のことです。
WBSがタスク内容の細かな洗い出し、ガントチャートはそれをグラフにしたものです。
つまり、ガントチャートを作るには先にWBSを作成する必要があります。
WBSを採用する理由
WBSとはWork Breakdown Structureの略称で、作業分解構成図とも呼ばれるスケジュール管理ツールのひとつです。
エンジニアの作業工程を細かな作業ごとに分解することで管理する方法のことを指します。
必要な作業を洗い出し、細分化するとで、それぞれの工程に必要なコストや人員配分が分かりやすくなります。
そのほか以下のようなメリットが挙げられます。
●タスクの相関関係が一目で分かるため、関連するタスクを意識しながらスケジュール管理ができる
●今やるべき作業が分かりやすい
●工数見積もりがしやすい
●進捗管理がしやすい
●スケジュールの作成が容易になる
●スコープが明確になる
プロジェクトを進める上で重要とされているのは、「期限内に仕事を達成すること」です。
WBSがあれば、タスクの量が多くても相関関係を踏まえながらスケジュールを組めます。
WBSは無料のものから有料のものまで、多くのツールがリリースされています。
ガントチャートを採用する理由
ガントチャートとは、縦軸にタスク、横軸に時間軸を書き、縦軸にメンバーや作業内容も書き入れて、タスクごとに作業の開始日と完了日を記入した棒状グラフで、作業計画を可視化できて、プロジェクトの進捗管理が容易になるため採用されます。
ガントチャートは、特に長期的なプロジェクトで活用するのに有用で、ガントチャートによりプロジェクトの各タスクや担当、スケジュールから進捗状況までが可視化され、チーム全体で情報を共有できるメリットがあります。
WBSでプロジェクトのタスクを細分化して、階層化し、担当者と納期を決定したデータを、ガントチャートでグラフにすると可視化できるので、プロジェクトメンバーがタスクの進捗状態を共有できます。
ガントチャートを作成し、プロジェクト管理に利用できるツールが増えています。
WBSの書き方の手順6つ
WBSの書き方は、必要なタスクを書き出した上で可能な限り細分化し、タスクの関係性を考慮し、タスクの順序を決め、タスクを階層化し、各タスクの担当と納期を決めるの6つの手順を追って記載します。
WBSを作成するときの各手順を以下に詳細に説明します。
1:必要なタスクを全て書き出す
WBSでは、タスクのつながりを明確にしながら、必要なタスクを漏れのないように全て書き出します。
タスクを洗い出すときに、初めから終わりの方へ洗い出す方法と逆に後ろから考えて洗い出す方法があります。
プロジェクトの目的のアウトプットを得るために、タスクを後ろから洗い出すのをアップストリーム型と言い、この方法を利用すると、プロジェクトに必要なタスクを、漏れることなしに全て書き出すことができます。
2:書き出したタスクを可能な限り分解する
WBSでは、書き出したタスクを、さらに小さなタスクに分解して可能な限り細分化します。
タスクをより細分化することにより、後の作業で行うタスクの関係性を考えること、順番を決めることおよび階層化することが容易になります。
3:タスクの関係性を考える
WBSでは、できるだけ小さく細分化したタスクの関係性を考えます。
書き出したタスクを細分化するほど、プロジェクト内のタスクの関係性が見えてきます。
優先させるもの、並行して実行するもの、後から行うものなどタスクの関係性を可視化することで、プロジェクトを進行しているとき、スケジュールの変更や担当者の追加などが容易になります。
4:タスクの順序を決める
WBSでは、関係性を視覚化したタスクの順序を決めます。
プロジェクトのタスクの中には、先行作業が終わらなければできない後続作業、後続作業と並行してできる作業があります。各タスクの関係性を明確にし、タスクを実行する順序を決めます。
タスクを実行する順序を決めて、タスクの中からプロジェクトの進捗に影響するクリティカルパスを明確にして、プロジェクトを円滑に遂行するために、クリティカルパスになるタスクが遅延しないように注意します。
5:タスクを階層化させる
WBSでは、順序を決めたタスクを階層化します。
プロジェクトの中で同レベルのタスクをまとめ、1番上に大きなタスク、次に中くらいのタスク、小さなタスクと枝分かれしたツリー構造ができるように階層化します。
タスクの階層化により、プロジェクトを完成させるために避けなければならない、タスクの抜けや漏れを防止できます。
6:各タスクの担当者と納期を決める
WBSでは、タスクの階層化の次に、各タスクの担当者と納期を決めます。
各タスクの担当者を決めたら、担当者と打合せし納期の確認を行います。
予想した納期について担当者が納得できていないと、予想以上にタスクの完成に時間がかかった場合、プロジェクトの納期遅延の原因になります。
WBS作成後のガントチャート作成のコツ5つ
WBS作成後のガントチャート作成のコツは、無理なタスク量や矛盾したタスクを確認する、タスク処理の実績欄を作成する、クリティカルパスを把握する、マイルストーンを設定する、WBSの内容変更に合わせて修正するの5つです。
WBSで明確にしたタスクの順序、タスクの階層化、担当者と納期をガントチャートに落とし込んで、ガントチャート作成の際にこれら5つのコツを利用します。
1:作業量に無理や矛盾がないか確認する
WBS作成後のガントチャート作成は、各タスクの作業量に無理や矛盾がないか確認します。
各タスクの作業量の無理や矛盾の確認は、ガントチャートに担当者と作業期間を書き込む前に、各担当者に打合せして行います。
ガントチャートのバーグラフに書き込むことで、WBS作成時には分からなかったタスク間の無理や矛盾を見つけることができます。
2:タスク処理の実績欄を作る
WBS作成後、ガントチャートを作成する際には、タスク処理の実績欄を作ります。
タスク処理の実績欄にタスクの進捗を書き込んで、プロジェクトの進捗程度を、進捗バーを伸ばしたり短くして逐次チェックし、プロジェクトが遅延しないように管理し、そのデータを全員で共有します。
タスク処理の実績欄を見て、進捗が遅延している場合は、WBSを見直しガントチャートを修正してタスクの順序の変更を行い、プロジェクトが遅延しないように修正します。
3:クリティカルパスを把握する
WBS作成後にガントチャートを作成するときは、クリティカルパスを把握します。
ガントチャート作成時に、タスク全体の流れを把握し、タスク同士の相互関係を確認し、プロジェクトの進行に大きな影響を及ぼすクリティカルパスを把握します。
プロジェクトの進行において、特定のタスクが終了しないと次のタスクに取り掛かれないボトルネックになるクリティカルパスを把握して、ガントチャートに書き込みます。
4:マイルストーンを設定する
WBS作成後にガントチャートを作成するときには、マイルストーンを設定します。
プロジェクトを完成させるための重要な中間目標地点であるマイルストーンの設定が、プロジェクトを目標期間内に遂行するために重要です。
マイルストーンの設定によって、プロジェクトの重要なポイントが明確になり、マイルストーンを守ることで、プロジェクトを遅延なしに遂行できます。
5:WBSの内容変更に合わせて適宜修正する
WBS作成後にガントチャートを作成した場合は、WBSの内容変更に合わせて適宜修正します。
プロジェクトの作業内容を細分化して一覧表にしたのがWBSで、それをグラフ化したものがガントチャートです。WBSに変更が生じたときは、それに合わせて必ずガントチャートのグラフを修正します。
WBSとガントチャートは併用すると便利
WBSを使えば大きなタスクと小さなタスクを可視化できるため、マルチタスクの際に便利です。
また、工数の見積もりや進捗状況などを確認することができます。
一方でガントチャートはプロジェクト全体をグラフとして表すので、どのくらい時間がかかるのか分かりやすいのが特徴です。
一目見て分かりやすいのはガントチャートの方ですが、WBSの方がタスクの細かい内容まで確認できます。
このようにどちらか一方だけを利用するのではなく、両方を使うことでより工数管理が楽になります。
WBSやガントチャートを使ってスケジュール管理を楽にしよう
工数管理や進捗管理が苦手なエンジニアには、細かなタスク管理などができるWBSが役立ちます。
ガントチャートと併用することによって、さらに分かりやすくスケジュール管理ができるでしょう。ぜひ、活用を検討してみてください。
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