Azure仮想マシンとは?種類12選や5つのメリットを紹介

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仮想マシン(VM)とは


仮想マシンとは、物理ハードウェア上にソフトウェアで仮想的に構成されたコンピューターです。

仮想マシン上にOSをインストールして、1つのコンピューターとして稼働できます。仮想マシンを「インスタンス」と表現する場合もありますが、意味は同じです。

例としては、物理環境に Microsoft Hyper-V や VMware vSphere といったハイパーバイザーを構築し、そのうえで複数の仮想マシンを作成し、OS をインストールして1つのコンピューターとして稼働できることが挙げられます。また、Microsoft Azure や Amazon Web Service (AWS) などのクラウドサービスでも仮想マシンを提供しています。

Azure仮想マシンとは


Azure仮想マシンとは、Microsoftが提供しているクラウドサービスのAzure上で提供されている仮想マシンです。

開発テスト向けのエントリーレベルの仮想マシンから、大量のワークロードにも使用できる仮想GPUに対応した仮想マシンまで提供しています。

また、運用変更による仮想マシンのスケールアップやスペック変更も簡単に実施できます。

Azure仮想マシンのメリット5つ


Azure仮想マシンを使用することで、コストを抑えつつ用途に応じた環境の展開が容易になり、仮想マシンのパフォーマンス、セキュリティの状態を監視、分析、維持することが可能です。

ここでは、Azure 仮想マシンを使用することのメリットとして5つピックアップして簡単に説明します。

Azure仮想マシンのメリット1:OSは2つから選べる(WindowsまたはLinux)

Azure 仮想マシン上では、WindowsとLinuxを構築できることがメリットです。

自分で仮想マシン上にインストールすることもできますし、MarketPlaceにあるテンプレートから展開することもできます。

MarketplaceにはWindows Server、Windows ClientやRedhat LinuxやSuse Enterprise Linuxをはじめ、UbuntuやCentOS のテンプレートまでが揃っています。

また、SQL Serverインストール済みのテンプレートなど、多岐にわたるテンプレートが公開されているため、必要な時に必要な仮想マシンを簡単に展開して使用できます。

Azure仮想マシンのメリット2:管理者の負担を軽減できる

Azure仮想マシンでは、各種エージェントをインストールし、パフォーマンスやアクティビティログを収集できることもメリットです。

収集された各情報はLog Analyticsワークスペースに保存されるため、Azure Monitorで稼働状況を確認して分析に使用できます。また、これらの情報を基にアラートルールを作成し、管理者へ通知することが可能です。

他にも、仮想マシンスケールセットを使用することで、短い時間で大量の仮想マシンを展開することや、稼働状況や事前に定義したスケジュールに応じて仮想マシン数を増減させることも可能です。

Azure仮想マシンのメリット3:特典を利用すると最大80%のコスト削減

Azure仮想マシンの特典を利用することで、コストを大幅に削減できるのもメリットです。

特典としては2つ(Azure Reserved Virtual Machine Itances(RI)とAzureハイブリッド特典)あり、組み合わせることで最大80%のコスト節約が可能です。

Azure Reserved Virtual Machine Itances(RI)の特典は、事前に仮想マシンを予約することで従量課金制と比較して最大72%のコストを削減できることです。予約した仮想マシンは交換やサイズ変更、キャンセルも可能です。

Azureハイブリッド特典は、ソフトウェアアシュアランス(SA)が有効なWindows ServerとSQLServerライセンスとRed HatまたはSUSEのサブスクリプションが使用できることです。仮想マシン作成時にハイブリッド特典を適用することで、仮想マシンの使用コストのみで利用できます。

Azure仮想マシンのメリット4:Azure Advisorによるパフォーマンス管理

Azure Advisorのメリットは、使っている構成と使用状況を分析し、セキュリティリスクや潜在的な問題を検知し、ベストプラクティスに基づいてAzure使用環境を最適化できることです。

推奨事項は複数のカテゴリに分けられていますが、Azure Advisorのパフォーマンスに関する推奨事項は、Advisorダッシュボードの「パフォーマンス」タブで取得できます。

ベストプラクティスの例としては、迅速に正常なエンドポイントにフェールオーバーさせるために、Traffic ManagerプロファイルのDNS Time to Liveを短縮することや、仮想マシンのディスクのパフォーマンスと信頼性を向上させるために、Premiumストレージを使用することが挙げられます。

Azure仮想マシンのメリット5:高いセキュリティ

Azure仮想マシンは、その高いセキュリティもメリットです。

Azure仮想マシンのセキュリティを高めるために、マルウェア対策用機能拡張やNetwork Security Group (NSG) やAzure Firewall などでネットワークトラフィックを制御したり、仮想マシンで使用している仮想ハードディスクを暗号化したりすることでデータの保護をします。

また、以下のような仮想マシンの管理/監視方法、コンプライアンス、サービスも提供されています。

利用状況を監視できる

Azure仮想マシンで診断設定を有効にすれば、アクティビティログを収集できます。

アクティビティログには、仮想マシンの変更や起動された時の情報などが含まれ、収集されるアクティビティログはLog Analyticsワークスペースに保存できます。

Log AnalyticsワークスペースとAzure Security Centerを使用することで、セキュリティログやイベントで異常なアクティビティを監視し、管理者にアラートを送信できます。

セキュリティに関するコンプライアンスが強化されている

Azure 仮想マシンは、FISMA、FedRAMP、HIPAAなど国際的な主要コンプライアンスプログラムの認定を受けています。

この認定を受けているため、Azure仮想マシンをコンプライアンス要件に準拠でき、広範囲におよぶ国内外や国際的な規制の要件に対応することが容易になります。

Azure Security Centerが便利

Azure Security Centerは、Azure仮想マシンを含むAzure上のリソースのセキュリティ状態を監視し、問題があれば検知して推奨される対処を通知するAzure上のサービスです。

このサービスはAzureポータルで有効化する必要があり、Free(無料)版かStandard版を選択して使用します。

なお、Freeでは一部の機能 (セキュリティの評価や推奨事項の表示) が使用でき、Standardではすべての機能が使用できます。

Azure仮想マシンの種類12選


Azure仮想マシンは、用途や必要なスペック、コストに応じて多くの仮想マシンが用意されているため、いつでも必要な時に必要な数の仮想マシンをカスタマイズして展開できます。

ここからは、2020/12時点で用意されているAzure仮想マシン12種類の概要について簡単に説明します。

Azure仮想マシンの種類1:Aシリーズ

Aシリーズの仮想マシンは、開発向けのビルドサーバー、リポジトリサーバーやテストサーバー、小規模のWebサーバーやデータベースサーバーなどのエントリーレベルのワークロードに適しています。

最新では、Av2シリーズとして提供されています。なお、Reserved Virtual Machine Instances (RI) については、Av2シリーズでは使用できません。

Azure仮想マシンの種類2:DCシリーズ

DCシリーズの仮想マシンは、Azure仮想マシン上で使用するアプリケーションのデータやコードの保護(機密性と整合性)に適しています。

DCシリーズとDCv2シリーズがありますが、東日本リージョンではDCv2、米国中部ではDCというように、リージョンによって使用可能なシリーズが変わります。

DCシリーズでは、3.7GHz Intel XEON E-2176GプロセッサとSGXテクノロジーによって、DCv2シリーズでは、3.7 GHz Intel XEON E-2288G プロセッサとSGX テクノロジーによって、セキュリティで保護されたアプリケーションの構築が可能です。

Azure仮想マシンの種類3:Fシリーズ

Fシリーズの仮想マシンは、バッチ処理やWebサーバー、分析やゲームなどの使用に適しています。

Intel Xeon Platinum8272CLプロセッサ、インテルXeon8171M 2.1GHz、Intel Xeon E5-2673 v4 2.3 GHz、Intel Xeon E5-2673v32.4GHzプロセッサが搭載され、最大165個の仮想コアと32GiBのメモリを使用可能です。

FsV2シリーズには、vCPU あたり2GiB のRAMと8GBのローカルストレージ (SSD) が搭載されています。

Azure仮想マシンの種類4:Dシリーズ

Dシリーズの仮想マシンは汎用コンピューター向けで、仮想コアとメモリの組み合わせ、さらに一時ストレージを使用することでほとんどの運用環境に対応できます。

現在は、Dシリーズよりもおよそ 35% 高速な Dv2シリーズが提供されています。

Intel Turbo Boost Technology2.0を備えた Intel Xeon Platinum 8272CL、Intel Xeon 8171M 2.1GHz、Intel Xeon E5-2673 v4 2.3GHz、または Intel Xeon E5-2673 v3 2.4 GHzプロセッサを搭載し、最大16個の仮想コアと56GiBのメモリが使用可能です。

Azure仮想マシンの種類5:Gシリーズ

Gシリーズの仮想マシンは、SAPやSQLServer、または Hadoop などの高負荷なアプリケーションや大規模なデータベースに適しています。

また、Intel Xeonプロセッサ E5 v3ファミリが搭載され、最大32個の仮想コアと0.5TiBのメモリのメモリが割り当てられます。

さらにG5インスタンスでは、単一顧客専用のハードウェアが使用可能です。

Azure仮想マシンの種類6:Lsシリーズ

Lsシリーズの仮想マシンは高スループットのストレージが適用でき、NoSQLデータベースなど、停待機時間ワークロードや大規模トランザクションデータベースに適しています。

LsシリーズとLsV2シリーズがあり、LsシリーズではIntel Xeonプロセッサ E5 v3プロセッサが搭載され、最大32個の仮想コアと256GB のメモリ、768GBから6TBまでのSSDが使用可能で、Premium Storageがサポートされています。

LsV2シリーズは、AMD EPYCTM 7551プロセッサ上で実行され、特長として直接マッピングされたローカルNVMeストレージを搭載しています。

また、最大80個の仮想コア、仮想コア当たり8GiBのメモリが割り当てられ、仮想コア8つあたり、1つの1.92TB NVMe SSD M.2ストレージが割り当てられます。

Azure仮想マシンの種類7:Mシリーズ

Mシリーズの仮想マシンは、大規模なデータベースやアプリケーションの使用に適しています。

ハイパースレッドが有効な Intel Xeon E7-8890 v3 2.5GHz、または Intel Xeon プラチナ 8280Mで構成され、最大128個の仮想コアと4TiBのメモリを使用可能です。

Azure仮想マシンの種類8:Eシリーズ

Eシリーズの仮想マシンは、SAP などの高負荷なインメモリアプリケーションの使用に適しています。

Intel Xeon Platinum 8272CL プロセッサを搭載し、最大64個の仮想コア、432GiBのメモリを使用可能です。Ev4、Esv4仮想マシンは、最大64個の仮想コア、504GiBのメモリが使用可能となっています。

Ea v4、Eas v4仮想マシンは、AMD EPYC 7452プロセッサを搭載し、最大96個の仮想コア、672GiB の RAM、2,400GiBのSSDベースの一時ストレージが使用可能です。

Azure仮想マシンの種類9:Bsシリーズ

Bsシリーズの仮想マシンは、開発向けのビルドサーバー、リポジトリサーバーやテストサーバー、小規模の Webサーバーやデータベースサーバーに適しています。

ベースラインパフォーマンスが定義され、ベースラインを下回る場合にはクレジットが蓄積されます。

また、処理要求が増加した場合は、クレジットを使用してパフォーマンスを向上させることで、ベースライン以上のパフォーマンスを確保できます。

Azure仮想マシンの種類10:Mv2シリーズ

Mv2シリーズの仮想マシンは、大規模なオンメモリデータベース環境やリレーショナルデータベースに適しています。

ハイパースレッド対応の Intel Xeon Platinum 8180M2.5GHz (Skylake) プロセッサが搭載され、最大416個の仮想コアと12TBのメモリが使用可能です。標準または Premium の Azure Managed Disk (永続ストレージ) が使用できます。

Azure仮想マシンの種類11:Nシリーズ

Nシリーズの仮想マシンは、GPU機能を持っており、コンピューティング処理やグラフィック処理などの高負荷のワークロードに適しています。Nシリーズでは、特定の用途に合わせて3つのオプションがあります。

NCシリーズは、ハイパフォーマンスコンピューティング (HPC) やレンダリングに適しており、最新バージョンのNCv3では、NVIDIA Tesla V100 GPUが搭載されています。

NDsシリーズは、ディープラーニング用の学習と予測に適しており、Tesla P40 GPUを搭載、最新バージョンの NDv2は、NVIDIA Tesla V100 GPUが搭載されています。

また、NVシリーズはグラフィック処理の多いアプリケーションに適しており、NVIDIA Testa M60 GPUを搭載しています。

Azure仮想マシンの種類12:Hシリーズ

Hシリーズの仮想マシンは、ハイパフォーマンスコンピューティングワークロードの処理に適しています。

Intel Xeon E5-2667 v3 Haswell 3.2 GHz (ターボ時 3.6 GHz、常にオン) およびDDR4メモリを搭載しています。

そのうちの2種類 (H16r、H16mr) には、RDMA インターフェースも搭載されており、高速なネットワークを使用した並列コンピューティングのワークロードに最適化されています。

Azure VMware Solution(AVS)について


Azure VMware Solution は、MicrosoftがAzureのサービスとして提供するネイティブなVMware環境です。

このサービスには、VMware vSphere だけではなく、vCenter Server、NSX、vSANといったソフトウェアが含まれています。

なお、2020/12時点では、東日本リージョンでのみ使用可能です。

AVSを使う意味

AVSを使うメリットは、既存のオンプレミス環境で慣れ親しんだツールを使えることです。新しいスキルを習得する必要がほぼなく、既存環境で使用していたワークフローやスクリプトなどが継続で使用できることもポイントです。

また、Azure仮想マシンではサポートされない古いOSも稼働可能です。これにより、古いOSのために残していたオンプレミス環境の削減を検討することもできます。

オンプレミスのVMware環境をAzureに移行できる

オンプレミスの VMware で稼働している仮想マシンを、IPアドレスの変更すら行わずにAVS上に移行できます。

具体的には、vMotionによるライブマイグレーションが行えることで、オンプレミス環境で稼働中の仮想マシンを停止することなく、AVS上へ移行できます。

Azureの仮想マシンについて理解し活用してみましょう


Azure仮想マシンは、使用目的やコストから仮想マシンを選択できることや、必要な時に必要な分だけ展開し、非常に高いセキュリティ環境で運用できるというメリットを持ったツールです。

MicrosoftからAzure仮想マシンを理解するための情報も公開されており、無料アカウントでも12か月利用できるサービスがあります。また、AVSも東日本リージョンで使用可能となったため、「オンプレミス環境からの移行」といった選択肢も増えています。

まずは、開発、テスト環境から使用し、Azure仮想マシンでの稼働に問題がなければ、運用環境の新規構築やオンプレミス環境との連携、移行を検討してみましょう。

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