ベンダーコントロールとは?ベンダーコントロールに必要なこと9選
ベンダーの意味
ベンダーは英語で「vendor」と表記し、売る人、行商人などの意味です。ビジネスシーンでは、一般にメーカーや販売代理店などのことをいいます。ベンダーは「販売会社」のことを指しているので、製品やサービスの開発や製造のみをしている会社は当てはまりません。
ITにおけるベンダーとは?
IT業界におけるベンダーは、IT関連のシステム、ソフトウェア、サービス、製品などを提供する「売り手」側の会社が入ります。対して、「買い手」側の会社は「ユーザー」や「エンドユーザー」と呼ばれます。IT業界のベンダーはハードウェアやソフトウェアを製造販売する会社だけではなく、通信サービスやシステムを設計し、提供する会社も含まれます。また、セキュリティ関連のソフトやシステムなどを提供する会社も業界に含まれます。
ベンダーコントロールの意味
企業で使われるシステムやネットワークに責任を持っているのは情報システム部や社内SEですが、社内だけで全てをまかなうのは難しいことです。さまざまなベンダーにシステム設計や構築、場合によってはシステムの運用やセキュリティ上の監視まで依頼していくことになります。自社にとって必要なシステムや運用法については、買い手であるユーザー企業側で取りまとめることが必要です。それらを的確にベンダーへと伝え、指示し、また適正な運用をしているかどうかを監視して評価していくことを、ベンダーコントロールと呼びます。
ベンダーコントロールに必要なこと9選
社内システムやネットワークを導入したり、定期的に更改したり、また実際の運用をしていく際にも、さまざまなベンダーに依頼していくことになります。社内の関係部署や担当者から、きちんと聞き取り調査をして、ベンダーへ的確な指示を出すようにしましょう。ベンダーコントロールを行う為には、全体を把握しておくことも必要です。ここでは、ベンダーコントロールのために必要なスキルについてご紹介していきます。
ベンダーコントロールに必要なこと1:ITの知識
ベンダーコントロールを実施するうえで、IT関連の知識を持つことは絶対に必要です。たとえ社内システムの設計・構築からベンダーに委託するとしても、ある程度の知識がなければ、適切な指示を必要なタイミングで出すこともできません。またベンダーコントロールにとって、大事な納品物の品質かの確認も知識がなければきちんと評価することもできないでしょう。運用中の不具合をベンダー側に伝える際にも、内容を正確に把握しておきましょう。
ベンダーコントロールに必要なこと2:エンジニアとしての経験
ベンダーコントロールを行う上で、自身のエンジニア、とくにネットワークエンジニアとしての経験はとても役に立ちます。エンジニアの仕事は、クライアントの要望を正確に把握して提案へと結び付け、また改善へとつなげていくことの繰り返しです。さまざまな企業のシステムに関わった経験は、自社のITシステム構成を考える上で、とても参考になるでしょう。ベンダー側へも、正確に希望を伝えることができます。ベンダー企業でのエンジニア経験者が、ユーザー側のベンダーコントロール担当者へと転職するケースもよくあります。
ベンダーコントロールに必要なこと3:リカバリーの計画も練っておく
社内に新しいシステムを導入したり、ネットワークを入れたりする行程はひとつのプロジェクトとして動きます。その中のすべてが100%想定通りに進むことは、まずありません。たとえシステムがうまく動作しなかったり、担当部署の要望と異なる仕様となってしまったとしてもスムーズに対応できるように、あらかじめリスクを想定した上でリカバリーの為の計画を練っておくことが、ベンダーコントロールにおいて必須です。
ベンダーコントロールに必要なこと4:要件は適切に出す
ベンダーはクライアントの指示通りの製品やシステム、サービスを提供することを求められていますが、その指示が不適切なものであれば要望にそったものを納品することはできません。あいまいな表現は避け、必要事項が確実に伝わるようにしましょう。ベンダーコントロールにおいて、要件はふさわしいタイミングで適切に出さなくてはなりません。
ベンダーコントロールに必要なこと5:リーダーシップ
社内のIT環境を整えていく上では、社内の要望を集め、ふさわしいベンダーを選定し、全体のプロジェクトを進めていく必要があります。さまざまな人が関わってきますが、それらの全体像を把握して、最終的な決断をして、まとめあげていかなければなりません。ベンダーに対して、きちんと要望を伝えていくことも必要です。ベンダーコントロールにおいて、リーダーシップは重要なスキルのひとつでしょう。
ベンダーコントロールに必要なこと6:マネジメント能力
さまざまな社内外の人間が関わるプロジェクトを進めていく為には、マネジメント能力が必要になります。ITインフラの整備の為にはシステム開発だけでなく、それにふさわしい関連機材やネットワークサービスなどの導入も必要になります。複数のベンダーに業務を依頼するので、プロジェクトの進行にあわせて作業工程の調整もしなければなりません。全体をみながらそれぞれを調整することによって、ベンダーコントロールがうまく機能するでしょう。
ベンダーコントロールに必要なこと7:責任感
単なる研究や開発と違い、企業内でのシステムやITインフラの導入・整備などは、明確な目標や期限のあるプロジェクトとして動いています。その過程ではさまざまなトラブルも発生しますし、進行状況の調整や見直しなども必要になってきます。ベンダーコントロールをしながら全体をみて最後までやり通すことは、責任感がなければ難しいでしょう。
ベンダーコントロールに必要なこと8:期限を決める
ベンダーに業務を発注する際には、必ず期限を設けるようにしましょう。最終的な納期だけではなく、進行にあわせたチェックポイントごとに進捗状況を確認することは、特に複数の企業に対するベンダーコントロールの際に重要です。納期ギリギリで不具合が発生してしまった場合、リカバリーが間に合わず次のベンダーの作業開始が遅れるなど、最悪の場合は社内で告知していたシステム運用開始日に間に合わなくなるリスクがあります。
ベンダーコントロールに必要なこと9:資格を取る
ベンダーコントロールの担当となった場合は、ぜひ関連資格を取りましょう。取得の為の勉強をすることによって幅広い知識も身に付きますし、ベンダー側の人と同じ視点を持つこともできます。それ以上に名刺に肩書を載せられることに大きなメリットがあります。きちんとした資格を持っていると認められることで、ベンダーの中でも優秀な方に担当していただける率が上がる可能性が高くなります。おすすめ資格:ITストラテジスト、プロジェクトマネージャ、ISOなど
ベンダーコントロール以外にベンダーとつく用語4つ
ベンダー(vender)は売り手、販売会社などを意味しており、ベンダーコントロール以外にもよく使われている言葉です。おもしろいところでは街なかで見かける自動販売機のことも「ベンダー」とか「ベンディングマシーン」といいます。ここではIT関連のいくつかの用語をご紹介していきます。
用語1:ベンダー資格
IT関連機器や、ソフトウェア、システムなどの製造販売会社などが、自社製品の操作技術や運用技術を一定以上持っていることを認定する為に設けている、民間の資格制度のことです。筆記試験や実技試験があり、基準を満たせば認定証や証明書が発行されます。「シスコ技術者認定」や「オラクルマスター」などが有名です。
用語2:ベンダーコード
パソコンやルータなどのネットワーク機器やネットワークアダプタには、それぞれにMACアドレスという固有識別番号が割り当てられています。A0:A0:A0:A0:A0:A0のようにアルファベットと数字の組み合わせになっています。そのうち最初の3つをベンダーコードといい、製造メーカーを表しています。
用語3:マルチベンダー
複数のメーカーの製品を販売したり、複数のメーカーの製品を組み合わせて構築したシステムを販売したりするベンダーのことをマルチベンダーといいます。対して、ひとつのメーカーの製品のみを扱う場合はシングルベンダーといいます。組み合わせの相性の問題もありシステム構築は難しいと言われているので、ベンダーコントロールの際には特に注意が必要です。
用語4:セキュリティベンダー
セキュリティベンダーとは、ウィルス対策ソフトなどセキュリティ関連のソフトやシステムを開発、製造販売している会社のことです。ベンダーコントロールの際にも、特に慎重に選定すべきベンダーのひとつでしょう。大手の主な企業として、トレンドマイクロ、マカフィー、シマンテックなどがあります。
ベンダーコントロールは大変な反面やりがいがある仕事
プロジェクトのリーダーとして、または中心人物として全体をまとめて管理していくベンダーコントロールの仕事は責任ある大変なものです。経験を積むことが何より大切ですが、なかなか機会を得られない場合でも、例えばIT機器の購入など小さな案件をこなす際に、必要な通信サービスやセキュリティソフトをシミュレーションしてみたりするくせをつけてみましょう。さまざまなベンダーと関わりさまざまなソリューションを受けることはとても勉強になり楽しいものでもあります。将来の仕事のはばを広げるためにも、ぜひベンダーコントロールのスキルを身につけていきましょう。
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