フリーランスの開業届は出した方が良い?開業届を出すメリット9つを紹介

開業届とは?
いわゆる開業届とは、正式名称を「個人事業の開業・廃業等届出書」といい、新たに事業所得、不動産所得、山林所得を得るための事業を開始した時に、開業から1ヶ月以内に税務署に提出する書類のことです。
フリーランスとして独立する場合だけでなく、会社員でありながら家賃収入を得る場合にも提出が必要となります。
開業届はA4一枚の用紙で、氏名、住所、開業日、事業の内容、屋号(お店の名前)などを記載します。税務署に用紙をもらいに行かなくても、国税庁のHPから印刷して使うことも可能です。書き方もHPに掲載されています。
出典:[手続名]個人事業の開業届出・廃業届出等手続|国税庁
参照:https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/04.htm
フリーランスの開業届は必要なのか?
フリーランスは開業届を出した方が良いといえます。その理由は、開業届を出すことによるメリットとデメリットを比べた時に、圧倒的にメリットの方が多いからです。
それでは、具体的にどのようなメリット・デメリットがあるのかを紹介していきます。
開業届を出す9つのメリット
ここからは開業届を出すメリットについて解説していきます。今回は、社会的な信用を得られることを始めとした9項目をピックアップしていきます。
お金に関するメリットが多いので、これからフリーランスとして大きく稼いでいきたいと考えている方は、ぜひ確認しておきましょう。
1:社会的な信用を得られる
会社員は安定した収入があり、勤めている会社名や役職がその人自身の肩書きとなることも多いため、フリーランスに比べると社会的な信用を得やすいです。
一方でフリーランスは、どのような仕事をしていくら稼いでいるのか、今後も安定した収入が見込めるのか、などが第三者からは想像しづらいため、家を借りたり融資を受けたりする場面で審査が厳しくなることも多いです。
そこで、特に開業1年目の手続きの際に役に立つのが開業届の控えです。開業届の控えがあることで社会的な信用を得られ、事業用の口座を作ったり、融資を受けたりする際の手続きがしやすくなります。
開業届を二部提出すると、そのうちの一部を本人の控えとして返してもらうことができます。控えにも税務署の受付印を押してもらえるので、「フリーランスとして収入を得ることを税務署に報告した」ということを確認できる書類となります。
フリーランスには、在職証明書や在学証明書、法人の登記などのような、誰が見ても納得する証明がありません。2年目以降は確定申告書の控えで所得などを証明できますが、1年目は開業届の控えの提示を求められることが多いです。
2:フリーランスとしての意識が高まる
開業届を提出するということは、税務署に対して、「これからフリーランスとして収入を得ようと思っています」と報告するということです。
開業届を出すことは、会社員のお小遣い稼ぎの副業とは違い、「フリーランスとして生計を立てていくつもりである」という決意を表明する行為ともいえます。ゆえに開業届を提出することで、フリーランスとしての自覚と意識が高まるでしょう。
3:屋号付きの口座開設ができる
開業届を提出すると、屋号で銀行口座を開設できるようになります。フリーランスになると、売り上げや経費などのお金に関する管理もすべて自分で行う必要があります。プライベート用の口座と事業用の口座を分けておくことで、管理がしやすくなります。
また、商品などが売れて取引先に振り込みをしてもらう際にも、個人名義よりも屋号名義の口座の方が安心してもらえます。
4:青色申告が可能になる
「所得税の青色申告承認申請書」を税務署に提出して、複式簿記など一定の記帳方法によって収支を計算し、期限内に正しく申告すると、青色申告が可能になります。
青色申告が認められると、約65万円程度の特別控除が受けられるなど、所得金額の計算などについて有利な取扱いが受けられます。
ただし、提出には期限があります。すでに事業を開始していて「所得税の青色申告承認申請書」が未提出の場合(白色申告から青色申告に変更したい場合)や、1月1日〜1月15日の間に開業して1年目から青色申告をしたい場合は、翌年3月15日までに提出します。
1月16日〜12月31日の間に開業した場合は、開業から2ヶ月以内に提出すれば1年目から青色申告ができます。なお、親などから相続によって事業を引き継いだ場合は、相続の時期によって以下のとおり提出期限が異なります。
その死亡の日がその年の1月1日から8月31日までの場合・・・死亡の日から4か月以内
その死亡の日がその年の9月1日から10月31日までの場合・・・その年の12月31日まで
その死亡の日がその年の11月1日から12月31日までの場合・・・その年の翌年の2月15日まで
提出期限を1日でも過ぎると、その年の青色申告が認められないため、開業届と一緒に提出してしまうのがおすすめです。
出典:[手続名]所得税の青色申告承認申請手続|国税庁
参照:https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/09.htm
5:小規模企業共済へ加入が可能
フリーランスになると、小規模企業共済に加入することができます。原則として、加入時に確定申告書の控えの提示が求められますが、事業を始めたばかりで確定申告書がない場合は、開業届の控えを提示すれば良いこととなっています。
小規模企業共済制度は、個人事業主などのための、積み立てによる退職金制度です。小規模企業共済へ加入すると、様々なメリットがあります。
掛金は加入後も増減が可能で、全額が確定申告で所得控除を受けられます。
さらに、退職や廃業の際に共済金を受け取れますが、受け取り方は「一括」「分割」「一括と分割の併用」から選択することが可能です。
一括受取りの場合は退職所得扱いに、分割受取りの場合は公的年金等の雑所得扱いとなり、どちらを選択しても税制メリットがあります。
また、低金利の貸付制度を利用できるのも大きな特徴です。小規模企業共済に加入しているフリーランスは、掛金の範囲内で事業資金の貸付けを受けることができます。様々な種類の貸付けが用意されており、即日貸付けも可能です。
出典:加入をご検討の方|中小機構
参照:https://www.smrj.go.jp/kyosai/skyosai/
6:様々な申し込み時の証明書になる
開業届の控えがあれば、銀行での手続きや保育園への申し込みなど、様々な場面でフリーランスとして働いていることの証明書になります。
フリーランスが開業前後に銀行融資を受けようとする場合や、屋号名義で口座を開設しようとする場合に必要なものとして、銀行から開業届の控えを求められることが多いです。
また、保育園の申し込みなどでは「就労証明書」が必要になります。会社員であれば勤め先に記入してもらいますが、フリーランスの場合は自分で記入します。自分で記入すると客観的な証明が無いため、開業届の控えの提出をお願いされることがあります。
7:赤字の場合その年の所得税を繰り越しできる
フリーランスで青色申告をしている場合、その年の赤字を翌年以降に繰り越すことができます。事業所得などに赤字がある場合で、他の所得と損益通算しても控除しきれない部分の金額は、翌年以後3年間にわたって繰り越して、各年分の所得金額から控除することができます。
たとえば1年目が赤字で2年目が黒字の場合、2年目の確定申告の際に1年目の赤字分を差し引いて税額の計算をすることができるので、2年目の税金が本来納付すべき額よりも安くなるということです。
出典:No.2070 青色申告制度|国税庁
参照:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2070.htm
8:税務署で無料講習を受講できる
税務署では、開業届の書き方はもちろん、記帳や申告の仕方についての相談もできます。
公的機関なので、何度相談しても無料で教えてもらうことが可能です。
また、青色申告承認申請書を提出すると、税務署から記帳指導の案内が届くことがあります。
税務署が税理士会や青色申告会などに協力を依頼して、定期的に記帳の仕方についての説明会を開催しています。参加を希望すれば、帳簿のつけ方を教えてもらうことが可能です。
紙の記帳だけでなく会計ソフトを使っての記帳にも対応しており、どちらの講習を受けたいか希望を出せます。
税務署が開催する説明会は基本的に無料ですが、記帳指導は一部を外部講師に依頼しているため、コースによっては有料の場合があります。
9:家族に給与を支払った場合は経費にできる
青色申告をしているフリーランスが家族に給与を支払った場合、一定の要件を満たせば、その給与を経費にすることができます。一定の要件というのは、国税庁のHPによると、以下のとおりです。
青色申告者と生計を一にしている配偶者やその他の親族のうち、年齢が15歳以上でその青色申告者の事業に専ら従事している人に支払った給与は、事前に提出された届出書に記載された金額の範囲内で専従者の労務の対価として適正な金額であれば、必要経費に算入することができます。
あらかじめ税務署に「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出しておく必要がありますが、自分のフリーランスとしての仕事を手伝う報酬として、その年の12月31日時点で15歳以上である家族に給与を支払う場合は、その給与は自分の経費にすることができるというものです。
なお、「青色申告者の事業に専ら従事している」という要件があるので、その家族が他にも仕事をしている場合や、学生である場合は対象になりません。また、原則として従事する期間が6ヶ月以上であることが必要です。
「労務の対価として適正な金額」というのは、仮に家族以外の人を雇って同じ仕事をしてもらった場合にいくら支払うかを想定して、それと同じくらいの金額であれば問題ありません。
また、経費を多くしたいために仕事の量や質に対して高額な給与を支払っても、一部しか経費として認めてもらえない場合があります。
青色申告者と生計を一にしている配偶者やその他の親族のうち、年齢が15歳以上で、その青色申告者の事業に専ら従事している人に支払った給与は、事前に提出された届出書に記載された金額の範囲内で専従者の労務の対価として適正な金額であれば、必要経費に算入することができます。https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2…
開業届を出すデメリット
開業届を出すことのデメリットとして、失業保険がもらえなくなることが挙げられます。
また、青色申告をする場合には、白色申告よりも計算が面倒になることもデメリットです。開業届を出すデメリットについてご興味がある方は、参考にしてください。
失業手当が支給対象外
会社を辞めてフリーランスになる場合、税務署に開業届を提出すると失業保険が受け取れなくなります。
失業保険は無職の人のための保険です。開業届を出すと失業状態ではないとみなされ、受け取る資格がなくなります。
青色申告の計算が面倒
青色申告特別控除を受けるためには、原則として正規の簿記により記帳をする必要があります。正規の簿記というのはいわゆる複式簿記のことで、年末に1年分の貸借対照表と損益計算書を作成し、確定申告の際に「決算書」としてまとめたものを提出します。
複式簿記で帳簿をつけるには、最低限、簿記3級レベルの知識は必要になります。簿記を全く知らない人は、フリーランスとして仕事をしながら、時間を見つけて簿記の勉強をする必要があります。
フリーランスの開業届の書き方と提出方法
開業届には、氏名や住所、事業の内容、開業日、屋号、青色申告承認申請書の提出の有無、従業員に対する給与支払いの有無などを記載します。記載が終わったら、本人確認書類とマイナンバーが確認できる書類とともに、税務署に提出します。
必要となる書類
開業届を提出する際は、本人確認書類とマイナンバーの確認ができる書類が必要です。また、開業届を税務署で書いて提出する場合は、念のため印鑑も持って行きましょう。プラスチックのマイナンバーカードがあれば、本人確認もマイナンバーの確認もできます。
マイナンバーカードを作っていない方は、運転免許証や保険証などの身分証と、紙のマイナンバー通知カードかマイナンバー入りの住民票が必要です。
税務署の窓口で開業届を提出する場合は受付の職員に提示するだけで構いませんが、郵送で提出する場合には、本人確認書類とマイナンバーが確認できる書類のコピーを一緒に同封します。ちなみに、開業届に限らず、税務署へ書類を提出する際は毎回上記の書類を求められます。
提出する手順
開業届は、事業を開始した日から1ヶ月以内に、税務署に持参するか郵送で提出します。開業から1ヶ月後の日が土・日・祝日等に当たる場合は、次の平日が提出期限となります。
届出書の用紙は国税庁のHPからダウンロードすることができます。記入したものを郵送すればわざわざ税務署に行く必要はありません。記載に不備がある場合のみ、後日連絡が来ます。
また、書き方が分からない場合などは、税務署の窓口で用紙をもらってその場で記載し、提出まで済ませることもできます。
なお、開業届の控えをもらうために、忘れずに二部作成して一緒に提出しましょう。後から一部を追加で提出しても、控えに受付印を押してもらうことはできません。郵送で提出する場合は、切手を貼った返信用封筒を同封するのも忘れないようにしましょう。
提出の際に手数料などは不要ですが、郵送で提出するのに必要な封筒や切手は自分で用意する必要があります。間違いなく1年目から青色申告をしたい人は、開業届と一緒に、青色申告承認申請書も二部提出してしまうのがおすすめです。
出典:[手続名]個人事業の開業届出・廃業届出等手続|国税庁
参照:https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/04.htm
フリーランスが開業届を提出した後にやるべきこと3つ
ここからはフリーランスが開業届を提出した後にやるべきこと3つについて解説していきます。今回は、資金の調達を始めとした3項目をピックアップしていきます。
フリーランスが開業届を提出した後にやるべきこと3つについてご興味がある方は、参考にしてみてください。
1:資金の調達
フリーランスとして事業を始めるにあたって、資金の調達をする手段がいくつかあります。具体的には、銀行や信用金庫、日本政策金融公庫などから融資を受けたり、自治体の助成金を活用したりするなどの方法が挙げられます。
日本政策金融公庫の新創業融資制度を使えば、開業前であっても、無担保かつ保証人なしで、融資を受けることができます。ただし、他の融資と比べて利率が高いことがデメリットです。
また、地方自治体が窓口の制度融資も、無担保かつ連帯保証人なしで融資を申し込めます。日本政策金融公庫の新創業融資制度よりも低い利率で融資を受けることができます。
デメリットは、融資を受けられるまで数か月かかる場合があることや、支払利息のほかに信用保証協会に対して保証料を支払わなければならないことです。
自治体での融資や助成金については、自治体ごとに手続きの方法などが異なる場合があるため、詳しくはお住まいの自治体に確認してください。
2:国民健康保険への加入
フリーランスになると、国民健康保険へ加入する必要があります。加入の手続きは、お住まいの市区町村役所で行います。健康保険資格喪失証明書や身分証明書、印鑑を持参して手続きをします。
なお、退職後2年間は、勤めていた会社の健康保険に加入し続けることができます。これを「任意継続」といいます。妻が専業主婦で夫の扶養に入っていた場合などは、夫が退職した際に新たに国民健康保険に加入するよりも、任意継続を行うと保険料が安くなる場合もあります。
3:国民年金への加入
フリーランスになると、国民年金への加入手続きが必要です。会社員や公務員は、厚生年金に加入しています。
退職すると厚生年金を脱退することになるため、国民年金へ切り替える手続きが必要となります。手続きは、退職後14日以内に市区町村役場の窓口で行います。
出典:国民年金に加入するための手続き|日本年金機構
参照:https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/kanyu/20140710-04.html
フリーランスになる際は開業届を出すことで得られるメリットが多い
フリーランスになる際に開業届を提出するメリットは多いです。
税金面での優遇や事業資金の融資制度など、フリーランスのために用意されている制度がたくさんあります。
そして、それらの制度を利用するために、税務署に開業届を提出していることが要件となる場合があります。使える制度を活用できるよう、フリーランスになったら開業届を提出しましょう。
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