C#を使ったコンストラクタの継承について

この記事でわかること

C#などのクラスを用いてプログラミングを行う言語では、「継承」という命令を使用してコーディングをする機会が多くなります。この継承の考え方を理解しているか、していないかでプログラミングスキルにも差が出るため、この機会に継承の理解を深めていきましょう。

プログラマー

基本的なことですが、そもそも継承ってどういったことなのでしょうか？

プロジェクト
リーダー

継承っていうのは簡単に言うと、新しいクラスBを作成する場合、すでに作成済みのクラスAの機能も使いたい時などがあると思います。その時に、クラスAの機能をそのままクラスBに引き継がせることですね。

C#のクラスの継承とは

C#はオブジェクト指向型のプログラミング言語ですから、多くのクラスが存在してきます。

そこには、様々なプログラムから呼び出したい機能が兼ね備えられている、ベースとなるクラスも多くあるはずです。このベースとなるクラスを、新しく作成するクラスでも使えるようにすることを継承と呼びます。

継承には親と子のような関係が存在します。継承されるクラスのことを「基底クラス」または「スーパークラス」と呼び、継承する側のクラスのことを「派生クラス」または「サブクラス」と呼びます。
派生クラスから基底クラスの機能を利用する場合は、「base」命令が必要です。

また、C#では複数のクラスを継承させることができません。継承できるクラスはひとつだけですので、注意が必要です。

C#のクラスの継承方法 コンストラクタの使い方について

ここではC#を使用して、クラスの継承を行う簡単なサンプルプログラムを紹介します。baseを使用して、派生クラスのコンストラクタから基底クラスのコンストラクタを呼び出します。
ちなみに、クラスのコンストラクタとは、クラスが呼び出された時に処理するメソッドのことです。

C# 基底クラスコーティング

C#

namespace testApp { //基底クラス（親）とします。 class ApptestOyaclass { //プロパティ定義 public int Int_test_oya { set; get; } public int PropertyInt_oya { set; get; } //コンストタクタ定義 public ApptestOyaclass(int value) { Int_test_oya = value + 10; PropertyInt_oya = 0; } } }

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18

namespace testApp {     //基底クラス（親）とします。     class ApptestOyaclass     {         //プロパティ定義         public int Int_test_oya { set; get; }         public int PropertyInt_oya { set; get; }           //コンストタクタ定義         public ApptestOyaclass(int value)         {             Int_test_oya = value + 10;             PropertyInt_oya = 0;         }       } }

C# 派生クラスコーティング

C#

namespace testApp { //派生クラス（子）とします。 親クラスを継承しています。 //多重継承は禁止されています。 class ApptestKoclass : ApptestOyaclass { //プロパティ定義 public int Int_test_ko { set; get; } public int PropertyInt_ko { set; get; } //コンストタクタ定義 public ApptestKoclass(int value) : base(value) { Int_test_ko = value; PropertyInt_ko = 10; base.PropertyInt_oya = 100; //親クラスのプロパティに値を設定しています。 } } }

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20

namespace testApp {     //派生クラス（子）とします。 親クラスを継承しています。     //多重継承は禁止されています。     class ApptestKoclass : ApptestOyaclass     {         //プロパティ定義         public int Int_test_ko { set; get; }         public int PropertyInt_ko { set; get; }           //コンストタクタ定義         public ApptestKoclass(int value) : base(value)         {             Int_test_ko = value;             PropertyInt_ko = 10;             base.PropertyInt_oya = 100; //親クラスのプロパティに値を設定しています。         }       } }

C# クライアントコーティング

C#

using System; using System.Windows.Forms; namespace testApp { public partial class Form1 : Form { public Form1() { InitializeComponent(); } private void button1_Click(object sender, EventArgs e) { //派生クラス（子）を呼び出します。引数に500を設定します。 ApptestKoclass ClassTest = new ApptestKoclass(500); label2.Text = Convert.ToString(ClassTest.Int_test_oya); //510が設定される label4.Text = Convert.ToString(ClassTest.PropertyInt_oya); //100が設定される label6.Text = Convert.ToString(ClassTest.Int_test_ko); //500が設定される label8.Text = Convert.ToString(ClassTest.PropertyInt_ko); //10が設定される } } }

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26

using System; using System.Windows.Forms;   namespace testApp {     public partial class Form1 : Form     {         public Form1()         {             InitializeComponent();         }           private void button1_Click(object sender, EventArgs e)         {               //派生クラス（子）を呼び出します。引数に500を設定します。             ApptestKoclass ClassTest = new ApptestKoclass(500);               label2.Text = Convert.ToString(ClassTest.Int_test_oya);    //510が設定される             label4.Text = Convert.ToString(ClassTest.PropertyInt_oya); //100が設定される             label6.Text = Convert.ToString(ClassTest.Int_test_ko);     //500が設定される             label8.Text = Convert.ToString(ClassTest.PropertyInt_ko);  //10が設定される           }     } }

実行画面
ボタン1をクリックします。

実行結果
クラスが継承されていることを確認できました。

プログラマー

継承って意外と簡単にできるのですね。もっと難しいと思っていました。

プロジェクト
リーダー

そうですよ。クラスを使用して開発するオブジェクト指向型の言語に携わるのでしたら、クラスの継承の理解は必要不可欠ですね。使い方などがわかれば、どんどん自ら使っていけると思いますよ。だって、開発効率がかなり向上しますからね。

継承は多くの現場で活用されています

クラスの内容がほとんど似ているクラスを何個も重複して作成すると、パフォーマンスが非常に悪くなります。コーディングの工数も増え、保守でメンテナンスをする際も手間がかかります。こういったことを避けるためにも、クラスの継承を使用してサブクラスを作成することは、多くの現場で求められるスキルのひとつですので、現場で活用していきましょう。

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